医科歯科大,生物発光ドナーによるスクリーニング法を開発

東京医科歯科大学は,生物発光ドナー(NanoLuc)を用いた共鳴エネルギー移動(BRET)を活用して,ケモカイン受容体CXCR4のリガンドの高感度スクリーニング法の開発に成功した(ニュースリリース)。

ケモカイン受容体の一種であるCXCR4は,抗がん薬,白血病治療薬,抗エイズ薬,抗リウマチ薬等の開発においてCXCR4は重要な標的分子として考えられている。このようなリガンドの開発を効率的に推進するためには,受容体に対する結合親和性を簡便に測定する高感度なアッセイ法を確立することが重要となる。

これまでにCXCR4リガンドのスクリーニング法には,放射性同位元素ラベル化プローブや蛍光プローブを用いる競合阻害法があったが,安全性や感度に問題があり,汎用性には限界があった。

今回,研究グループは,CXCR4リガンドのハイスループットスクリーニングツールに有用なNanoBRETアッセイ法を開発した。この系では,CHO細胞に安定発現したNanoLuc-CXCR4(CXCR4のN末端にNanoLucを付与する)から460nm付近の生物発光エネルギーが生じる。

そこに,蛍光ラベル化したCXCR4アンタゴニストであるTAMRA-Ac-TZ14011を添加すると,TAMRA-Ac-TZ14011はCXCR4に結合し,NanoLucと距離的に近いため,生物発光エネルギーのアクセプターとしてとして機能し,620nm付近の蛍光を発する。

ここに,テスト化合物が存在し,TAMRA-Ac-TZ14011と競合的にCXCR4に結合すると,TAMRA-Ac-TZ14011が遊離し,蛍光が生じなくなり発光だけが検出できる。すなわち,620nmでの蛍光と460nmでの発光の比が,テスト化合物のCXCR4との相互作用の強度に反映された。

この結果,NanoBRETアッセイ法は,TAMRA-Ac-TZ14011をアクセプターとし,生細胞上のCXCR4に付与したNanoLucを生物発光ドナーとして,CXCR4リガンドの評価に適応可能であることを示すことができた。実際,いくつかの既知CXCR4リガンドのIC50値は,別法で得られた値と一致し,この方法の精度も確認された。

また,NanoLuc-CXCR4に分泌シグナルを導入する改変によりこのレセプターの発現と細胞膜への輸送が向上し,NanoBRETアッセイ法のダイナミックレンジも増大したという。

研究グループは,この研究成果は,精度が高く,簡便で安全なリガンドスクリーニングに貢献でき,CXCR4をブロックする抗がん薬,白血病治療薬,抗エイズ薬,抗リウマチ薬等の開発研究の効率化が期待できるとしている。

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