阪大ら,フィルタ交換機構付き複眼カメラを開発

大阪大学とアサヒ電子研究所は,CPUボード「ラズベリーパイ」と組み合わせて利用可能な5つの眼(レンズ)をもつ複眼カメラ「PiTOMBO(パイトンボ)」を開発した(ニュースリリース)。

複眼カメラは昆虫の複眼に触発され考案されたカメラで,1つのイメージセンサ上に複数のレンズを並べることで構成される。異なる撮影条件の複数台カメラによる撮影を1つのカメラで実現することが出来る。

しかし複眼カメラは,特別な複眼光学系をカメラの主要要素であるイメージセンサーの間近に直接配置しなければならず,一般のカメラのように市販レンズと組み合わせて簡単に利用できなかった。

そのため,さまざまな分野での応用が期待されているにもかかわらず,複眼カメラの特性を活かした撮影をしたいユーザーが簡単に独自利用できず,実用化には至っていない。

今回の開発では,大阪大学の複眼カメラ「TOMBO」を,「ラズベリーパイ」専用カメラである「PiCAMERA」ベースで実現した。開発に当たって,「PiCAMERA」用レンズを置換する小型の5眼複眼光学系を新規開発するとともに,多目的での利用を想定して光学系の取り付け調整機構とフィルタ交換機構を実装した。

5眼それぞれに異なる特性の分光フィルターを組み合わせることで,小型のマルチスペクトルカメラや,偏光角が異なる偏光フィルターとの組み合わせによるマルチ偏光カメラなどの多次元カメラを容易に作製することができる。

今後,このカメラの製造はアサヒ電子研究所が行ない,2019年夏以降の販売を目指す。大阪大学ではこれまでの複眼カメラ応用研究において積極的にこのカメラを活用することで,複眼カメラ技術の社会実装を加速させ,特にICT化が進む農業分野,生体計測分野,小型軽量性を活かしたドローンとの組み合せた活用を狙うとしている。

また,この研究成果を展示会「OPIE2019」(会期:4/24(水)~26(金),会場:パシフィコ横浜)におけるアサヒ電子研究所ブース(その他出展予定品)(ブース番号:J-18)に出展し,マルチスペクトル撮影とマルチ偏光撮影を実演する。

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