原子物理学実験に完璧に対応できるレーザーとは?

量子力学が20世紀前半に出現してから,光と物質の相互作用に関する研究が活発に行なわれており,その分野は広範囲に亘っている。1997年にレーザー光を用いて原子を冷却及び捕捉する手法の開発によりスティーブン・チュー,クロード・コーエン=タヌージ,ウィリアム・ダニエル・フィリップスらが共にノーベル物理学賞を受賞した。それ以来,理論的・実験的研究が加速化し,産業アプリケーションの中にはすでに利用されているものもある。

これらの実験で用いられるレーザーは,優れたノイズ性能と安定性を備えていなければならない。光格子の安定度や低温での光トラップ(捕捉)は,レーザーのノイズ・出力安定性・モード安定性・ビーム位置安定性に強く依存する。これらのパラメータのどれも最適化していないと,不必要に原子が加熱されてしまったり,光格子像の濃淡(コントラスト)が損失もしくは低減してしまう可能性がある。

仏Azurlight Systems社は,幅広い低温物理学システムにおいて最高クラスのレーザーを製造しながら,これらすべてのパラメータに亘って業界をリードする性能を提供している。

【原子物理学実験を考慮したレーザー仕様】

1064nmレーザー(出力:50W)の典型的なRIN測定

超低ノイズ
同社は専用電源,空冷ファン,機械設計,光学配置といった周囲からのあらゆるノイズ源を除去した製品の開発に注力している。その結果として,超低ノイズ(相対強度雑音/RIN値:<0.05%rms)の製品を幅広く提供しており,常に改良を重ねている。

波長範囲と安定性
近年,様々な種類の原子の冷却の研究が活発になされており,同社が赤外領域(976nm,1030nm,1064nm)及び可視領域(488nm,515nm,532nm)に対応した幅広いレーザー製品を提供する理由がここにある。1010nm~1120nmの領域における波長や第二高調波用のレーザーにも,要望に応じて対応する。これらの製品は非常に安定した波長安定性を実現するだけでなく,環境条件にも殆ど左右されない設計になっている。

出力
同社は高出力ファイバーレーザーの製造に重点を置いており,業界最高レベルの出力性能を実現している。製品の性能や機能に全く妥協することなく,赤外領域では最大50W・可視領域では最大10Wに対応している。

1064nmレーザー(出力:50W)の典型的な光学スペクトル

線幅及びSN比
同社のレーザー光源は,すべて長いコヒーレンス長(可干渉距離)を必要とするアプリケーションに最適な狭線幅(近赤外光源はΔλ<50kHz,可視光源はΔλ<200kHz)だ。この光学スペクトルは非常に綺麗で,赤外領域ではSN比は>50dB,可視領域ではSH比は>100dBである。

出力及びビーム位置安定性
冷却原子を扱う上で他に重要となる仕様は,ビーム位置安定性と出力安定性である。非冷却式レーザーヘッドの設計により±0.5%未満の出力安定性と<±0.5μrad/℃のビーム位置安定性を実現している。

1064nmレーザー(出力:50W)の典型的な出力安定性の測定。同社のすべてのレーザーは高性能な光学アイソレータを標準装備する。

ビーム質及び偏光
同社の光学設計はMOPA(主発振器出力増幅器)構造なので光の進行方向に沿ってシングルモードファイバー内に光を封じ込める。これにより,小型化,高効率性,高信頼性という点で多くの利点をもたらしている。さらには,優れたビーム質(M2<1.1),20dB以上の消光比をもつ直線偏光,長時間安定性も備えている。

偏向依存型の光学アイソレータが標準で内蔵されており,出力偏光子の角度を回転させて消光比をさらに高めることができ,光源の安定化を図ることができる。(偏光消光比/PER>25dB(標準))

ALS社製1064nmレーザー(出力:50W)

Azurlight Systems社は,業界をリードする高出力,低ノイズ特性を有した単一周波数ファイバーレーザー及び高出力・偏波保持ファイバー増幅器を提供しており,世界各国の主要な量子光学センターで設置された多くのシステムも取り扱っている。

同社は,光学ファイバー増幅器のノイズ特性への理解を深め,その結果,ショットノイズを抑制しながら高出力(50W)を実現するために,既存製品の基本設計を変更して新たな製品づくりに取り組んできた。

・ALS赤外光・CWシリーズ
・ALS可視光・CWシリーズ

最先端の研究,開発,生産の施設を保有しており,本社はフランスの都市ペサックにある。専用の度量衡システムは,高出力性能を特徴づけ且つ維持するために開発され,低ノイズの検出限界を-165dB/Hzまで達成することを可能とした。同社は異業種との提携を通じ,様々な次世代ファイバー製品を取り扱っており,フランスのボルドー大学にある主要な研究施設(常駐スタッフ5人)と関わりを持つ。アルファノブ技術センターにて,最先端の光ファイバー製品やレーザー装置の設計・開発に関する事業を展開している。