府大ら,光渦下のナノ粒子が光のスピンを加速すると解明

大阪府立大学と千葉大学は,光渦の下でのナノ粒子の公転運動が,光のスピンによって加速・減速される新原理を世界に先駆けて解明した(ニュースリリース)。

光渦は軌道角運動量を持ち,トラップした物体を太陽の周りを回る地球の様に公転運動させ,また円偏光の光はスピン角運動量を持ち,トラップした物体をその場で自転させる。大きな物体を光渦でトラップした場合は,その物体はその場で自転し,軌道角運動量が自転運動を誘起することが知られていた。

ここで,スピン角運動量が粒子に公転運動を誘起できるのかが問題となっている。そこで今回の研究では,円偏光光渦を直径70nmの金ナノ粒子に照射する状況を想定し,粒子に作用するトルクや,粒子の運動の時間発展を「光誘起力ナノ動力学法」を用い,シミュレーションにより評価した。

その結果,粒子が複数存在する場合に右円偏光よりも左円偏光の方が,トルクが大きいことが明らかになった。このような現象が生じる理由として,円偏光の光が引き起こす粒子の運動が1粒子と複数粒子の場合で異なることが挙げられる。

1粒子の場合は,粒子は単にその場で自転するためのトルクを受けるだけだが,複数粒子の場合は,個々の粒子が自転するためのトルクを受けた上に,光の電磁場を介して相互作用することで全粒子が一体となり時計回り・反時計回りに回転させるための力も作用する。特に左円偏光は正の,右円偏光は負のスピン角運動量を持ち,その符号の違いがトルクの増減に寄与しているという。

実際に,1個~24個までの粒子数に対する運動シミュレーションにおいて,全粒子の重心座標の公転運動の角速度の時間平均をプロットした。それぞれ10回シミュレーションを行なってプロットした結果,4個以上では左円偏光の方が右円偏光よりも速い公転運動を生じることがわかった。

特に左円偏光でも右円偏光でも,特定の粒子数で角速度が最大となる条件が存在するが,これは粒子数が変化したことで,光に対する光学応答が変化し,共鳴的により強いトルクが粒子に作用した結果であると考えられる。さらに,左円偏光は右円偏光よりも顕著に最大の角速度が速く,これは円偏光の違いによって粒子の配置が変化し,より強く光に応答した結果と考えられるという。

研究グループはこの研究成果は,物質の光操作技術をより高度にするもので,例えば光で粒子を綺麗に配列する技術や,光の力を利用したレーザー加工技術などの発展に貢献するものとしている。

その他関連ニュース

  • 東北大,電子挙動の直接観察を相対性理論と対比 2020年07月14日
  • 理科大,正方カゴメ格子に量子スピン液体を観測 2020年07月10日
  • 広島大ら,相変化材料に質量ゼロの電子を発見 2020年07月10日
  • 東大ら,磁性体内の四重極磁石の空間分布を可視化 2020年07月10日
  • 東北大,電子スピン歳差運動の回転方向を観測 2020年07月03日
  • 東北大ら,スピンのねじれによる電子の変位を発見 2020年07月02日
  • 東邦大ら,光で金ナノ粒子を位置選択的に融合 2020年06月30日
  • 阪大ら,最高性能の半導体スピン伝導素子を実証 2020年06月22日