理研ら,マイクロ流路で泳ぐ微生物をラマン観察

理化学研究所(理研),北海道大学,東京大学,九州大学の研究グループは,ガラス製マイクロ流体チップに「ダム構造」を持たせることで,泳ぐ微生物の単離と培養をマイクロ流路中で行ない,複数の細胞の代謝物を一細胞ごとに経時測定することに成功した(ニュースリリース)。

同種の細胞集団の中から,有用物質を多く産生する株を単離するためには,一つ一つの細胞を捕捉し,生かしたままで,その代謝物を分析する。特に動きの速い微生物の場合は,測定中に細胞を見失わないようにする必要がある。

しかし,泳ぐ細胞を狭い空間に閉じ込めると,新鮮な細胞培養液の供給が妨げられ,代謝に異変が生じ,泳ぐ細胞の一細胞測定を数時間にわたって行なうことは困難だった。

今回,研究グループは,厚さ0.9mmのガラス製マイクロ流体チップを作製し,チップ中のマイクロ流路をダムのような構造によってせき止め,細胞培養液を常に流すことで,速く泳ぐ微生物であるユーグレナを一つずつダムの縁に留めて培養することに成功した。

また,単離したユーグレナが正常な代謝活動を行なっているかを共鳴ラマン分光法で確認し,ストレスを与えずに培養できることがわかった。さらに単離したユーグレナに対し,バイオ燃料成分の原料であるパラミロンを生産する条件で培養し,誘導ラマン散乱顕微鏡で追跡した結果,ユーグレナのパラミロン産生を一細胞レベルで確認することができたという。

研究グループは今回の研究が,動きが多く継続的な観察の難しい微生物の追跡を可能とし,特定の代謝を行なう微生物細胞の選別に応用できるため,バイオ燃料や栄養源の高効率作製や医薬品などの有用物質を産生する微生物のスクリーニングに貢献するとしている。

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