東大ら,135億年前の星形成の痕跡を発見

東京大学と早稲田大学の研究グループは,COSMOSという天域にある3つの天体が,約7億歳の星からなる「老けた」銀河である可能性が高いことを明らかにした(ニュースリリース)。

現代天文学では,宇宙で最初の銀河の探求は重要なテーマとなる。これまでにビッグバンから5億年後(約133億光年の距離)の銀河まで発見されている。

さらに宇宙初期の銀河形成に迫るため,今回研究グループは,年老いた恒星からなる「老けた」銀河に注目した。「老けた」銀河は,過去の星形成の痕跡を残す化石のような天体で,発見された時代よりも過去の様子を探る重要な手がかりを得ることができる。しかし「老けた」銀河は,遠方宇宙ほど数が少なく,スペクトルの特徴も少ないことから見つけるのは難しいと思われてきた。

今回の研究では,ろくぶんぎ座の方向にあるCOSMOSという天域で,宇宙年齢10億年の時代の「老けた」銀河の探査を行なった。「老けた」銀河の数少ない特徴として,バルマーブレークというスペクトル中の段差がある。バルマーブレークの強さは銀河をつくる星の年齢に比例し,赤方偏移6でだいたい3μmの近赤外線波長域に現れる。

研究グループはまず,スピッツァー宇宙望遠鏡の近赤外線画像に写る3万7千の天体の中から,3.6μmバンドで明るく,それより短波長側で見えない6天体を候補として選んだ。

「老けた」銀河は星間塵の熱放射が少なく,遠赤外線で暗いと考えられるため,6天体に対してアルマ望遠鏡の超高感度観測を行ない,星間塵の熱放射が見えない3天体を残した。合計15波長の画像を用いた詳細なスペクトル解析から,これら3天体は宇宙年齢10億年程度の時代(赤方偏移6)にあり,その星の大部分は年齢7億歳という「老けた」銀河であると結論付けられたという。

このことから,研究グループは宇宙年齢わずか3億年(135億光年の距離)の時代にこれらの銀河が誕生していたことになるとしているが,これら3つの天体が「老けた」銀河であると断定するには,バルマーブレークの詳細な分光確認が必須となる。

研究グループは,2021年にアメリカ航空宇宙局(NASA)が打ち上げを予定しているJames Webb Space Telescopeを使えば確認できるとの見通しを立てており,その観測データから,宇宙最初期にどうやって効率的に大量の星が作られたのかという物理過程の解明も期待されるとしている。

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