東大,トモエゴゼンの観測運用を開始

東京大学が中心となり開発を進めてきた105cmシュミット望遠鏡用の新観測装置トモエゴゼンが完成し,10月より本格稼働を開始する(ニュースリリース)。

地球に接近する軌道を持つトモエゴゼンは,短時間に変わりゆく宇宙の姿を探求することを目的とした世界初の天文用広視野動画カメラと,人工知能ソフトウエア群からなる観測統合システム。

トモエゴゼンカメラは計1億9,000万画素の高感度CMOSイメージセンサーを搭載し,1晩の観測で30TB(映画約1万本分)におよぶ宇宙動画ビッグデータを取得し,観測データを即時に解析し過去と比較することで,天体の明るさや位置の変化を高精度にとらえる。

木曽観測所内に設置されたオンサイト計算機群に直結され,機械学習モデルと最適化アルゴリズムを搭載したソフトウエアにより制御およびデータ解析される。30TB/夜のデータは膨大なため取得から7日後に順次消去されるが,「魅力的な情報」は長期保存用のストレージへ退避させる。

各研究者がオンサイトに持ち込む計算機は,この長期保存用ストレージ内のデータに対して再度,魅力的な情報をマイニングし,その中に目的の天文現象を得た場合は,追観測に繋げるために外部へアラートを出す。

東京大学柏キャンパスに建設予定のデータセンターと木曽広域情報センターの情報網を高速ネットワークで結ぶことで,迅速かつ円滑な情報発信を実現する計画。研究者の科学的ニーズを元に自動で観測手順を立案し実行するとともに,刻一刻と変化する気象状況や他望遠鏡による重力波などの突発現象の発見情報を考慮して,観測手順を自動で再最適化する。

トモエゴゼンは空の全域を1晩に繰り返し動画でスキャンする観測を年間100夜ほど実施する予定。毎晩の観測データに写り込む約1億個の天体の全ての明るさと位置を監視することで,1秒~1時間の短時間に変動する天体現象を毎晩13万件以上とらえることができる。このような空の広範囲の大規模な動画探査は過去に例がないとする。

検出する変動現象の中には,爆発直後の超新星や地球に衝突する恐れのある小惑星など科学的に重要な天体現象が多く含まれることや,重力波望遠鏡カグラと国内最大口径の京大岡山3.8mせいめい望遠鏡と連携した迅速なマルチメッセンジャー観測により,重力波の起源の解明が期待できるという。

トモエゴゼンが日々獲得するビッグデータには空で発生するイベントが網羅的に含まれるため,地球高層大気の研究,宇宙機やスペースデブリの状況の把握,リアルデータによる教育・普及など広範囲の分野間連携による過去にないデータ駆動型宇宙科学の展開が期待できるとしている。

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