富士電機,船舶用レーザーガス分析計を発売

富士電機は,船舶事業の強化に向け,船舶スクラバ用レーザー方式ガス分析計を発売した(ニュースリリース)。

国際海事機関(IMO)は,大気汚染原因物質の1つである硫黄酸化物(SOx)の排出量抑制に向け,船舶燃料の硫黄分濃度の上限を,指定海域を除く全海域で,2020年に0.5%(現在3.5%)とすることを定めている。

この規制は新造・既存船問わず全船に適用され,船舶所有者は規制強化以降,低硫黄成分燃料へ切り替えるか,船舶用排ガス浄化装置(SOxスクラバ)を使用するなどの対応が必要となる。また,SOxスクラバを搭載した船舶は,排ガス浄化性能の指標として,二酸化硫黄(SO2)と二酸化炭素(CO2)のガス濃度比を連続監視することが義務付けられている。

今回,同社は排ガス監視装置として,世界最小の船舶スクラバ用レーザー方式ガス分析計を発売した。従来のガス分析計は,煙突から排ガスを吸引する採取器と加熱導管,排ガス中のダスト・水分を除去するサンプリング機器(前処理機能),各機器への電源供給・通信を行なう制御機器,排ガス中のSO2とCO2の濃度を測定するガス分析計で構成される。これらを盤用キャビネットに格納するため,船内に大規模な設置場所を確保する必要があった。

この製品は,前処理機能を採取部に集約し,検出部・制御部・採取部の3ユニット構成で設計。ユニットごとに壁面や床などフレキシブルな配置が可能。さらに,耐腐食性材料を採用するなどして盤への格納を不要とすることで,同社従来製品に比べて体積を90%低減し,世界最小サイズを実現した。これらにより,既存船への設置(レトロフィット)が容易となる。

また,このレーザー方式ガス分析計では,レーザー素子と受光素子を用いてSO2とCO2の濃度を同時に測定する。一般的な赤外線方式と比べ構成部品が少なく信号ノイズを大幅に低減できる。そのため,校正作業を年1回に低減(赤外線方式は毎週必要)するとともに,交換部品が少ないことから,赤外線方式に比べてランニングコストを50%以下に低減できるという。

同社は,2018年に船舶用排ガス浄化システム(EGCS)を発売している。今回の製品を同社製EGCSに適用し,システムを強化するとともに,他スクラバメーカーに対しても今回の分析計を拡販することで,船舶事業の拡大を図るとしている。

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