東大ら,安価にゼオライトナノ粒子を合成

東京大学と中村超硬は,ゼオライトナノ粒子の製造方法と粒径制御技術を開発した(ニュースリリース)。

触媒機能やイオン交換機能,消臭,吸着機能など特異な機能を持つゼオライトは,小型化や省スペース化,機能の向上だけでなく,感性や感覚などの高機能化に関わる多種多様な産業の需要を満たす解決方法の1つとしてナノ粒子化が期待されている。

しかし,粒径の制御,ナノサイズ粒径の状態でゼオライトの結晶性や機能を満たすことは困難だった。さらに,生産効率の低さなどから品質の不安定さや製造コストが課題となっていた。

一般にゼオライト粒子の合成には,高温高圧の熱水存在下で行なわれる水熱合成法が用いられる。今回の研究では,100nm以下の小径ゼオライトナノ粒子を製造する「粉砕・再結晶化法」と,150~300nmの大径ゼオライトナノ粒子を製造する「粒成長法」の2つの手法で,ゼオライトナノ粒子の安定的な合成を成功した。

今回の研究により,従来と比べて約10分の1のコストでゼオライトナノ粒子の製造が可能となった。

小径ゼオライトナノ粒子(100nm以下)では,ナノサイズ化により,食品や医療機器,薬,電子部品などの長期保存,品質安定化を図れるとともに,容器の内部状態を一目で確認できる透明吸湿性包材の実現が可能になる。また,光学製品のコーティング剤やフィルターなどへの適用も期待できるという。

大径ゼオライトナノ粒子(150~300nm)では,液中で沈降しないため,液体商品でも安定した分散状態を維持したまま,ゼオライトナノ粒子の機能が付けられる。さらにこの研究は,ゼオライトナノ粒子の吸湿時に発生する吸着熱を利用した温感化粧品を始め,歯科用品や衛生用品などのさまざまな分野で応用できるとしている。

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