京大ら,掩蔽現象をトモエゴゼンで高感度観測

京都大学を中心とする研究グループは,東京大学木曽観測所の新観測装置「トモエゴゼン」を用いて,太陽系外縁部の準惑星候補天体クワオアーによって恒星が隠される「掩蔽」(えんぺい)とよばれる現象について,前例のない高感度な動画観測に成功した(ニュースリリース)。

2019年6月28日,クワオアーによって背景の恒星が覆い隠される,「掩蔽」が日本で発生すると予報された。掩蔽は観測者と外縁天体,そして恒星が一直線に並んだ瞬間のみ発生する非常にまれな現象だが,観測の難しい外縁天体の素性を明らかにすることができるチャンスでもある。

そのため京都大学,東京大学,岡山大学,日本スペースガード協会,そして兵庫県立大学の研究者らが中心となり,国内4カ所での掩蔽同時観測に挑戦した。

このうち東京大学木曽観測所では好天に恵まれ,口径105cmシュミット望遠鏡に新たに搭載された超広視野高速カメラのトモエゴゼンを用いて掩蔽される恒星の動画観測を実施し,データの取得に成功した。

今回掩蔽された恒星の明るさは15.7等と,動画観測のターゲットとしては非常に暗かったものの,トモエゴゼンによって極めて高精細な動画データを得ることができた。

トモエゴゼンによって得られた動画観測データを詳細に解析した結果,クワオアーには大気がほとんど存在しないことが判明した。大気を持った天体による恒星掩蔽が発生した場合,恒星の光は天体表面にさえぎられる直前と直後に,大気による屈折の影響をうけて折れ曲がる。

よって仮にクワオアーに大気が存在する場合,大気の屈折効果によって恒星の光は掩蔽によって瞬間的に明滅することなく,ゆっくりと光が増減することが予想されるという。

動画データから掩蔽される直前と直後の恒星の光度がどのように時間変動しているかを詳細に解析した結果,クワオアーには大気の存在を示す兆候は見られないことがわかった。

今回の観測・解析結果から大気圧の上限値が求められ,クワオアーに16ナノバールよりも高い表面気圧を持った大気の存在する可能性がしりぞけられた。

今回の観測結果は過去の観測から求められていた上限値を大きく更新するものであり,クワオアー表面が大気で覆われている可能性に否定的な結果となっている。

クワオアーによる恒星掩蔽のように今後もトモエゴゼンを用いた掩蔽動画観測を実施することで,謎の多い太陽系外縁天体の真の姿に急速に迫ることが期待されるとしている。

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