ams,国内外事業戦略と新製品を発表

Tom Walschap氏

オーストリアのamsは12月3日,都内にて記者説明会を行ない,CMOSイメージンセンサー担当マーケティングディレクターのTom Walschap氏と,日本法人カントリーマネージャーの岩本桂一氏が同社の業績及び新製品について解説した。

Walschap氏によると同社の2018年の売上は16億2,700万ドルで,センサーを中心にICやインターフェース,関連アルゴリズムやソフトウェアを手掛けている。光学センサー,イメージングセンサー,オーディオセンサーを3本の柱としており,特に光学センサーおいては2017年にVCSELメーカーの米Princeton Optronicsを買収し,スマートフォン等の顔認証の他,独IbeoおよびZFと自動運転向けLiDARで協業するほか,売上でも大きな割合を占める。

「CSG-14K」

市場としては3つのC(通信:communication,民生:consumer,コンピューティング:computing)を重点的に捉えているほか,車載,産業,医療にもビジネスを広げていおり,イメージングセンサーにおいては,こうした市場に対応する製品ポートフォリオとして,マシンビジョン,写真&ビデオ,マイクロカメラモジュールをラインナップしている。

「CSG-14K」評価キットのデモ

同社は2015年に買収したベルギーCMOSISによるマシンビジョン向けのグローバルシャッター大型センサー,ラインセンサー,および中判写真カメラ向けセンサーで強みを持つ。またマイクロカメラモジュールは,内視鏡など医療向けとしても実績がある。

今回,グローバルシャッターイメージセンサーの新製品として,1インチサイズの「CSG-14K」を紹介した。この製品は3840×3584(14Mp)の解像度を持ちながら,117fps(12b)もしくは140fps(10b)で動作する。全モデルに対して小型化したほか,ダイナミックレンジの改善(69db)などが行なわれた。オンチップの画質改善技術により,ノイズ処理などの後段階の処理が不要になるとしている。

「4LS」シリーズ

またビニングやサブサンプリング(ラインスキップ)機能を搭載し,解像度を落とすことで更なる画質の向上が可能となるほか,特定の領域に符号を多く与える複数の関心領域(ROI)機能も備える。小型のパッケージ(20×22mm)により,29×29mmのカメラデザインに搭載できる。

当日はこのセンサーのデモとして,評価キットによる撮影の様子が公開された。解像度3840×3584でフルスピードのサブLVDSに対応(110fps)し,HDMIによるモニタ出力(4K@30fps)やUSB3 Visionによるデータ出力が可能となっている。

「NanoEye」シリーズ

ラインセンサーは2,000~16,000ピクセルまでの製品を揃えているが,新製品として「4LS」シリーズを紹介した。この製品シリーズ名は4 Line Scanに由来し,RGBの3ラインに加えてNIRのラインを搭載する。同社によると,RGB+NIRの4ラインから最大150KHzで同時に画像取得が可能なのはこのシリーズだけだという。15,000ピクセルの「4LS-15K」と10,000ピクセルの「4LS-10K」の2機種をラインナップする。

マルチエレメントレンズの良好な画像

マイクロカメラモジュール「NanoEye」シリーズは,イメージセンサー,レンズ,ケーブルをモジュール化した製品。1mm×1mm(解像度250×250)の「NanoEye2D」,0.73mm×0.73mm(200×200)の「NanoEyeXS」,1.05mm×1.05mm(320×320)の「NanoEyeM」「NanoEyeC」(Cはケーブルが付属しないコンシューマー向け製品)を揃える。

これらの製品は主に医療用途に最適化しており,使い捨て内視鏡やカプセル内視鏡での利用を想定している。FOVは120°で,「NanoEyeM」「NanoEyeC」はマルチエレメントレンズにより色収差が少なくエッジが鮮明な画質が得られるとしている。こうしたマイクロカメラモジュールは他社も手掛けるが,amsでは技術的な障壁となりやすいケーブルとの接続を含めたモジュールとしたことで,使いやすい製品とした。

岩本桂一氏

続いて日本法人カントリーマネージャーの岩本氏は,日本国内ビジネスの概況を解説した。日本での売り上げは4割がCMOSイメージセンサーが占めるが,今期は米中貿易摩擦による中国の需要低迷を受け,産業セグメントで苦戦を強いられたという。ただし,回復の兆しは見えており次期は確実に成長すると見ている。

特に重要な製品はグローバルシャッターの高解像度製品だとし,主にFPDの検査用途に用いられていおり,高速のシャッター速度が評価されているという。また産業用ロボットについても衝突防止用に小型カメラが採用されており,低解像度の製品が出るようになっている。

さらに,偽造硬貨の判別にもカメラによる画像認識が用いられるようになっており,こうした新たなアプリケーションに期待ができるとしている。さらにプロユースの映像用カメラの4Kや8K以降の更なる高解像度化を見据え,14Kや35Kといった大型センサーの供給も狙っているという。

一方でイメージセンサーに偏重したビジネスからの脱却に向け,国内では名古屋に新たに自動車向けの拠点を設けるなどした結果,自動車向けの売上は今年70%アップした。内容としては,ドライバーモニタリングのイルミネーターとしてVCSELチップや,ウェルカムカーペット用途のマイクロレンズアレーなどがある。

マイクロレンズアレーについては,より小さな光源を実現するとしてヘッドランプ向けにも提案しているという。こうした新規のプロジェクトの獲得は金額ベースで昨年比で4倍以上となっており,さらに自動車ビジネスを加速していくとしている。

同社は今年,東京エレクトロンデバイスを新たな代理店として迎えており,ToF,3D,カラーススペクトル,バイオ,スマートフォン向けなど,これまで以上に広い分野へ製品を紹介していきたいとしている。

※12/18 amsの国籍を修正しました

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