2019年の光学トレンドTOP4は?

レーザーオプティクス,イメージングレンズといった分野における進歩と,これまで見ることができなかったものを「可視化」するための新しい技術が登場した2019年。

オプティクスとイメージング産業は常に進化を続け,世界中の様々な市場に影響を与えている。ウェアラブル技術,自動車,マシンビジョン,医薬品などの産業は,全て最近の技術的な躍進から恩恵を受けている。エドモンド・オプティクスでは,その中でもっともインパクトが大きいと考えられる革新的な技術を同社ウェブサイトの「光学テクノロジー最前線」で発表した。特筆すべき2019年のトップトレンドは,「高反射レーザーミラー」,「安定化目的の高耐久化イメージングレンズ」,「非視線方向イメージング」,「高分散超短パルスミラー」。

1.レーザーアプリケーション用の高反射ミラー

高反射ミラーは,多くのレーザーシステムで損失を最小限に抑えながらビームステアリングを行なうために重要な部品である。ミラーの反射率を決める業界標準の方法は,分光計で透過率を測定し,残りの光が反射されたと見做すものだ。しかしながら,この慣行は「散乱や吸収はほんの僅かに過ぎない」という仮定に基づいており,算出した反射率の仕様は楽観的なものになりがちだ。

反射率が99.5%を超える高反射ミラーでは,キャビティリングダウン分光法(CRDS)を用いた全損失の測定が,反射率を特定する上でより正確な測定法になる。ミラーのサプライヤーがどのような方法で測定しているのかを知ることが,現実世界で性能を正しく評価する上で実は重要なのだ。反射率をどのように測定し規定しているのかを理解することが,楽観的に記載された仕様に惑わされることなく,アプリケーションに適したミラーを選択することにつながる。

2.安定化目的の耐久化を施したイメージングレンズ

M12(Sマウント)およびCマウントの高耐久化イメージングレンズ

安定化目的の耐久化を施したイメージングレンズは,衝撃や振動時の画素シフトを最小化し,要求の厳しいマシンビジョン環境に理想的なレンズとなる。全てのレンズ素子を接着固定し,可動機械部品点数を減らすことで,シンプルなピント調整機構を持つロバストな機械機構部を実現している。こうした改良によって,ファクトリーオートメーション(FA),ロボット,工業試験など要求の厳しいマシンビジョンアプリケーションにとって重要な光学的ポインティング安定性を維持することができる。

レンズ視野の中心にある物体焦点はセンサーの画素のちょうど中心に位置するが,安定化目的の耐久化を施したレンズを使用すると,この物体焦点はシステムに激しい振動を与えた後でもその位置を変えることがない。各レンズ素子は筐体内で位置がずれることも動くことも無いため,システムの視野のキャリブレーションが維持される。この他にも,水,埃,霧などから保護するためにシールド処理されたイメージングレンズなど,さまざまなタイプの耐久化レンズが登場している。

3.非視線方向イメージング


超短パルスレーザーを隠れた標的近くの物体(壁)に送る(左図)。壁に当たったレーザーパルスが散乱し,その散乱光が標的に向かう(中央図)。標的で2度目の散乱を起こし,その散乱光は壁に向かって戻る。この2度目の散乱光を高感度カメラが検出する(右図)。



イメージングアプリケーションでは,通常,対象物と撮像システムを直線上に配置する必要がある。しかし,非視線方向イメージングに対する最先端の研究によって,コーナーの先や障害物の陰をイメージングすることが可能になり,このパラダイムはシフトしようとしている。レーザー,高感度カメラ,そしてコンピューターによる再構成法を組み合わせ,LiDARと同様にその物体の周辺で光を散乱させることによって,隠れた物体を検出することができるのだ。

図にあるように,隠れた物体(標的)の近くの別の物体に向けて超短パルスレーザーを送ると,レーザー光はそこで散乱し,隠れた標的に向かって伝播する。その光は隠れた標的で2度目の散乱を起こし,最初に散乱を起こした物体に戻って来る。そのポイントで高感度カメラを用いて散乱光を検出する。この散乱パルスの飛行時間を利用して,隠れた標的の3Dモデルを再構築する。非視線方向イメージングは,自律走行車,公共の安全性,医用イメージングに大きなインパクトを与える可能性がある。

4.高分散超短パルスミラー

超短パルスレーザーは極めて短いパルスを発振し,バイオメディカル,材料加工,マイクロマシニング,非線形イメージング,顕微鏡,通信をはじめとしたアプリケーションに非常に有効である。しかしながら,その短いパルス持続時間は,多くのレーザーの波長に比べて広帯域なスペクトルを有することに呼応するものであり,結果として,光学媒体において他の種類のレーザーよりも大きな分散を呈する。

高分散超短パルスミラーは,分散の補償と超短パルスレーザーの圧縮のためのコンパクトでアライメント不要な選択肢になる。このミラーは,波長依存の侵入と多重共鳴効果を組み合わせることで,低損失と負の群遅延分散(GDD)を高いレベルで可能にする。これは超短パルスの正の分散補償にも理想的。また,チャープミラーのGDDの変動やGires-Tournois interferometer(GTI)の帯域幅の制約など,他のパルス圧縮用オプティクスに関連する問題も回避することができる。

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