名城大ら,UV-B半導体レーザーを開発

名城大学,三重大学,旭化成の研究グループは,世界初の中波長紫外線(UV-B波長領域)半導体レーザーを発明した(ニュースリリース)。

中波長紫外線領域のレーザーを実現するためにはバンドギャップエネルギーが3.8~4.4eVの高品質な結晶が必要で,かつ数kA/㎝2以上という大電流動作を実現させる必要がある。しかし,バンドギャップエネルギーが3eVを超える材料は絶縁性が高く,大電流注入が極めて困難という課題があった。

今回,三重大が開発した手法であるサファイア基板上に,スパッタ法で作製したAlNテンプレート上に3次元成長を用いることによってバンドギャップが3.8~4.4eVの高品質AlGaNを実現した。

AlNとこのバンドギャップエネルギーを持つAlGaNの間には1%以上の大きな格子不整合が存在するが,青色LEDの発明時に低温バッファ層を用いた3次元成長によって,成長層上部に高品質なGaNを得た。研究グループは,スパッタ法で作製したAlN上にAlGaNを成長させることによって高品質なAlGaNを得られることを見いだした。

次に電流注入による手法においては,分極ドーピング法を適用した。従来の半導体では不純物を添加することによって自由電子と自由正孔を形成し,電流注入する方法が広く用いられてきた。しかし,ワイドギャップ半導体であるAlGaN材料では,この方法ではレーザー発振レベルの大電流注入は実現できなかった。

これは,従来の電子物性工学ではバンドギャップエネルギーが3eVを超える材料は絶縁体とされていたが,紫外領域の半導体レーザーを実現するためには,バンドギャップエネルギーは5eVを超える材料を用いることが必須であることに起因している。

研究グループでは,米ノートルダム大が提案した分極ドーピング法をAlGaN材料に適用することによってレーザー発振が可能なレベルの電流注入を実現した。ノートルダム大は分極ドーピングを青色発光素子に適用したが,研究グループでは紫外発光素子に対して有用であると考え,これらの手法を適用することによって,298nm波長の電流注入による中波長紫外線領域のレーザーを発明した。

これまで,この波長域のレーザーはガスレーザーや固体レーザーの高調波などが用いられてきており,応用分野の発展の足かせになっていた。半導体レーザーは小型・高効率・長寿命など優れた特性があること,またAlGaNのAl組成を変えることによって中波長紫外線領域の全ての波長域のレーザー光を実現できる。今後,紫外線硬化および紫外線接着・乾燥,医療分野,DNAシーケンスなどの応用が広がるとしている。

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