NIMS,充放電に伴う電極の電位分布を可視化

物質・材料研究機構(NIMS)の研究グループは,全固体リチウムイオン二次電池の複合電極において,充放電反応に伴う電位分布の変化を連続的に可視化することに初めて成功した(ニュースリリース)。

全固体リチウムイオン二次電池は,その高い安全性や良好なサイクル特性から,次世代の蓄電池として期待されている。実用化に向けてさらなる電池性能の向上が求められているが,そのためには,充放電中に電極内部で生じる電気化学反応を詳細に解析し,性能低下をもたらしている原因を探求する必要がある。

研究グループは2016年に,充放電前後での電極内の電位変化を高い空間分解能で直接観察する手法を開発したが,さらなる詳細な解析のため,充放電中に電極内部で生じる電位分布変化を連続的(動的)に計測する技術が望まれていた。

今回,これまでに開発した断面試料作製技術とケルビンプローブフォース顕微鏡技術に電気化学測定系を組み込むことで,動作中の電池の内部電位変化を連続的(動的)に可視化する技術を開発した。

さらにこの手法を用いて,実際の全固体リチウムイオン二次電池(太陽誘電より実験品提供)の複合正極で進行する充放電反応の様子を観察した結果,充電反応は集電体側から負極側へ不均一に進行していくのに対し,放電反応は複合正極全体で均一に進むことが分かった。これは,充電過程では複合正極中で電子伝導ネットワークがうまく形成されていないことを示す結果となる。

開発した手法は,従来の電気化学測定では困難だった電池性能の劣化原因の詳細な解析など,様々な電池評価技術への応用が可能だという。従来は反応開始前と終了後しか観測できなかった電極内の充放電反応機構の微視的理解が進むことで,全固体リチウムイオン二次電池の性能を向上させる新たなデバイス設計指針の獲得につながると期待される。

具体的には,電池開発の現場において,電池の高性能化に向けた電池設計・構造制御指針を得るための重要な技術として利用されるとしている。

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