東大ら,顕微鏡+AIで血小板凝集塊の分類に成功

東京大学,中国 武漢大学,台湾 国立交通大学,米カリフォルニア大学の研究グループは,血液中の血小板凝集塊が分類できることを世界で初めて発見し,それを定量モデル化した手法「インテリジェント血小板凝集塊分類法(intelligent Platelet Aggregate classifier:iPAC)」の開発に成功した(ニュースリリース)。

血小板の凝集は,血小板上に発現している特定の受容体に結合して活性化するさまざまなアゴニストによって血小板表面に発現する糖タンパク質(インテグリン)の構造的及び機能的変化がもたらされることにより引き起こされる。

血小板凝集塊には,血小板のみが含まれているものから白血球を含むものまで,さまざまなタイプが存在する。しかし,さまざまな原因(止血,血栓症,炎症,がんなど)による多様なアゴニスト(ADP,コラーゲン,トロンビン(TRAP-6),トロンボキサンA2(U46619)など)が存在するにもかかわらず,血小板凝集塊は見た目が酷似しており,区別がつかないと長い間考えられてきた。

言い換えれば,血小板凝集塊の形態からは,何に起因して凝集しているのか判別できなかった。なぜなら,これまでは血小板凝集塊の形態学的特徴(形,大きさ,複雑さなど)を調べる方法が顕微鏡検査程度しかなかったため,血小板凝集塊の大規模な統計解析が困難だった。

研究グループは,オプトフィディック・タイムストレッチ顕微鏡と呼ばれる高スループットの光学顕微鏡により得られた多数の血小板及び血小板凝集塊の無標識明視野画像をもとに深層学習を行ない,それによって構築されたニューラルネットワークを活用することで,血小板凝集塊の形態から活性化を誘導するアゴニストの種類の同定に成功した。

iPACの診断有用性を実証するために,4人の健康なヒトの血液サンプルにiPACを適用して,サンプル中の血小板凝集塊に対する各アゴニストタイプの寄与の予測を行ない,iPACの診断能力を確認した。

iPACは,血小板凝集のメカニズムを解明するための強力なツールであり,また,流血中の血小板凝集塊の存在は心筋梗塞や脳梗塞の原因となるアテローム血栓症及び最近の新型コロナウイルス感染による血栓症と関連することから,血栓性疾患の画期的な臨床診断法,薬理学,治療法への応用展開が期待されるとしている。

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