東大,皮膚の伸縮を計測する超柔軟センサーを開発

東京大学は,顔に貼り付けた際に,顔の細やかな動きに影響を与えない超柔軟な歪センサーの開発に成功した(ニュースリリース)。

近年,ウェアラブルデバイスのような新技術による生体情報の取得とその活用への期待が高まっている。生体のように柔らかく,かつ常に運動しているものが測定対象の場合,生体情報を正確に計測するために,センサーそのものを柔らかく,伸びる素材で作ることが重要となる。

さらに,表情のように皮膚の細やかな変化を計測するためには,わずかな皮膚の伸縮によって生じる非常に弱い力でも自由に変形できる超柔軟なセンサーが求められていた。

しかし,柔軟さと機械的耐久性を両立することは困難であるため,皮膚のわずかな変化を本来の伸縮に影響を与えることなく,正確に計測できる手法はこれまでなかった。

研究グループは,電気紡糸法にて形成した数層のポリウレタンナノファイバーを非常に薄いジメチルポリシロキサンで強化することで,超柔軟性と高い耐久性を両立したナノメッシュ型歪センサーを開発した。

センサーは超軽量(0.012mg/cm2)で,非常に薄いため(430nm),皮膚に密着し,皮膚の伸縮を正確に計測することができる。その結果,皮膚の本来の動きに影響を与えずに,歪の変化を定量的に計測することが可能になる。

実際に,開発したナノメッシュセンサーを顔に貼り付けることで,発声時における皮膚の伸縮を多点で計測することに成功した。センサーを貼りつけた際の伸縮量は,センサーを貼りつけていない場合と同等の伸縮量となっており,皮膚の伸縮に影響を与えずに正確な計測ができることを確認した。

さらに,センサーは高い機械的耐久性を有し(60%伸長を5000回繰り返しても3%以下の抵抗変化),長期における歪の計測が可能。実際に,皮膚に8時間貼り続けた後にも,皮膚の伸縮を正確に計測することに成功したという。

研究グループは,今後,皮膚への負荷を与えずに生体情報を計測することを利用し,喜怒哀楽などの表情を読み取ることが可能なウェアラブルデバイスへの応用が期待されるとしている。

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