理科大ら,大面積モスアイフィルム製造方法を確立

東京理科大学とジオマテックは,スパッタ成膜法でグラッシーカーボン(GC)薄膜をガラス基板上に堆積させ,この基板に酸素プラズマを照射することで,反射を防止するモスアイ構造を作製する方法を開発した(ニュースリリース)。

反射を防止する構造の代表的なものとして,モスアイ構造がある。モスアイ構造は,微細な凸凹構造により連続的に屈折率が変化することで,反射が抑えられる。これまでモスアイ構造を作成するさまざまな方法が提案されており,研究グループもこれまでにグラッシーカーボン(GC)基板に酸素イオンビームを照射することで,モスアイ構造を形成する手法を開発している。しかし,GC基板は大面積化が難しいという欠点があった。

基板上に紫外線硬化樹脂を滴下し,その上にテンプレート(鋳型)となる型を押し当てて紫外線を照射して紫外線硬化させた後,型をはがすことでパターン構造を形成する光ナノインプリントリソグラフィ技術(UV-NIL)は,大面積のモスアイ構造を作成するのに有望な技術。

そこで研究グループは,スパッタ成膜法でGC薄膜をガラス基板上に堆積させ,この基板に酸素プラズマを照射することでモスアイ構造を作製した。これまでの方法では酸素イオンビームの照射範囲が狭かったことから,今回は照射範囲が広い酸素イオンビームを有する誘導結合プラズマ装置を使用した。そして得られたモスアイ構造を鋳型としてUV-NILで樹脂に転写することで,モスアイ構造を持つ大面積フィルムを得た。

モスアイ構造による影響を調べるため,表面が平滑な光硬化樹脂を準備し,光学的な特徴を比較した。その結果,550nm付近の透過率は平滑な光硬化樹脂で約86%であったのに対し,作成したモスアイ構造の約94%といずれも良好な透過性を示した。一方,可視光域における反射率は平滑な光硬化樹脂で約4%であったのに対し,作成したモスアイ構造の約0.4%と,優れた反射防止性能を示したという。

この研究により,これまで難しかった大面積(1m級)のモスアイ構造の作製が可能となる基本技術が確立できたとする。大面積ロールにモスアイ構造が作製できれば,フラットパネルディスプレー,デジタルサイネージ,コロナ対策で使用が広がる透明アクリル仕切り版など様々なものに応用でき,反射がなく視認性の良い環境が提供できるようになるとしている。

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