2021年,Huaweiのスマホ出荷台数は大幅減少

矢野経済研究所は,中国のスマートフォンメーカー7社に対する調査を実施し,各メーカーのサブブランドを含む2020年の製品ラインアップ,ハードウェア構成等を分析し,米中貿易摩擦の影響を考慮したうえで,世界市場における影響力を調査書にまとめた(ニュースリリース)。

それによると,2020年のスマートフォン世界市場は元々市場の頭打ち感が強く,大きな増加が期待できなかった中で,COVID-19や米中貿易摩擦の影響により,大きな打撃を被る見通しだという。

COVID-19の影響で特に第2四半期(2020年4-6月期)に世界経済が大きく停滞してしまったことで端末出荷,販売が大きく減少し,第3四半期以降に市場は動き出したものの,2020年はほぼ全ての端末メーカーが前年割れを余儀なくされる見込みだとする。

そのような状況下にあっても,中国スマートフォンメーカーの躍進は著しく,2019年のハンドセット(スマートフォン+フィーチャーフォン)世界出荷台数上位7社の内,5社が中国系のメーカーで占められているという。

一方で,2018年から続く米中貿易摩擦では,2019年に米国商務省が産業安全保障局(BIS)の「エンティティリスト」に中国大手のHuawei(ファーウェイ)を追加したことで,世界の移動体通信市場に甚大な影響をもたらす可能性が高まった。その後制裁措置は強化されており,米国製半導体の供給停止に加え,米国製機器を用いて製造された半導体も供給が禁止された。

また,スマートフォン向けオープンソースOSのアップデートも不可能となり,過去の製品も含め中国以外の市場で販売されているスマートフォンについても対象となった。

米中貿易摩擦を発端とした制裁措置は継続しているが,いち早く経済活動が活発化した中国市場では販売が持ち直しており,2020年のHuaweiのハンドセット出荷台数への影響は限定されるとする。

一方,制裁措置の一環でOSサポートが終了した市場では早々に買い控えが起きているという。年末商戦向けに高級機を発表したものの,年末商戦に向けて同社製品を敬遠する動きが顕在化する可能性があると指摘する。

2021年以降は実売価格900ドル以上のプレミアム価格帯の製品,600ドル以上のハイエンド機を中心に製造が困難になる見通しで,制裁解除されない限り第1四半期(2021年1-3月期)で半導体の在庫が尽き,製品出荷が滞る可能性が高いという。

制裁が継続される場合には,2021年のHuaweiのハンドセット世界出荷台数は7,111万台まで減少すると予測する。辛うじて中国国内向けに200ドル以下のローエンド機が製造できるかもしれないが,競合他社との競争力を維持できるかは別問題とみる。

また,それ以上に深刻なのは,世界市場でシェアが非常に高い基地局ビジネスで,基地局向け半導体の供給が受けられなくなることで、5Gの普及に大きな遅れが生じる可能性が高いとしている。

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