シャープ,緑色半導体レーザーの量産を開始 ─1社でRGBレーザーを提供可能に

量産を開始する緑色半導体レーザー
量産を開始する緑色半導体レーザー

シャープはピーク発振波長が515 nmで,出力30 mWの緑色半導体レーザー(狭ストライプ)の量産をこの11月中旬から開始すると発表した。

同社における半導体レーザーの研究開発は1960年にスタートしており,1982年にCD用半導体レーザーを量産化して以降,赤外・赤色半導体レーザー,Blu-ray用青紫色半導体レーザーを実用化し,2016年に出力80 mWの青色半導体レーザーを発表している。今回,緑色半導体レーザーをリリースすることで,業界で初めて1社でR・G・Bレーザーの提供を可能にした。

リリースしたのは業界統一規格であるφ5.6TO-CANタイプの「GH5130B2G」と,さらに小型のφ3.8TO-CANタイプの「GH05130B5G」の2種類で,サンプル価格はいずれも10,800円/個となっており,この10月20日よりサンプル出荷も開始している。

同社が想定している主な用途はヘッドアップディスプレイ(HUD),ヘッドマウントディスプレイ(HMD),AIスピーカーなどに搭載されると予測されているプロジェクターで,低出力から中出力までのレーザーが求められる製品分野をターゲットとしている。

同社製RGBレーザーを搭載した小型プロジェクターによる投影デモのもよう。ロボホンの搭載も想定している。
同社製RGBレーザーを搭載した小型プロジェクターによる投影デモのもよう。ロボホンの搭載も想定している。

レーザー応用製品を巡っては,プロジェクターへの搭載が進んでいる。その大きな特長の一つに高い色再現性がある。また,フォーカスフリーで,消費電力についてもTFT液晶やLCOS,DMD方式に比べても優れる。しかし,課題はコストにある。これを解決する策として同社が提案するのは,光の強さやレーザー光の形状などの光学特性や,電流値などの電気特性を調整すること。つまり,1社で特性のバラツキを抑制したRGBレーザーを提供することで,開発期間の短縮や調達業務の負荷軽減により,コストメリットにつながると見ている。

今回リリースした緑色半導体レーザーは月100万個を生産する計画だが,ニーズに応じてモジュールタイプでの提供も可能にする。また,同社によると,緑色半導体レーザーの開発は,純緑色波長の532 nmも視野に入れているとしている。◇

(月刊OPTRONICS 2017年11月号掲載)