超解像多光子顕微鏡

1. はじめに

超解像顕微鏡1〜3)や多光子顕微鏡4, 5)を含む様々な蛍光顕微鏡が開発され,生命現象解明のための重要な技術になっている。しかし,空間分解能,観察可能な深さ,時間分解能,視野の広さがトレードオフの関係にあるため,脳組織などの生体組織深部のイメージングにおいて,イメージング性能が足りていない。例えば,超解像顕微鏡は回折限界を超えた空間分解能を達成できるが,試料の表面近傍しか観察できない。この理由は,微弱な信号光が背景光に埋もれやすいためである。

一方,多光子顕微鏡は生体組織の深部観察に有用であるが,励起波長が長いために空間分解能は共焦点顕微鏡よりも低い。また,レーザー走査型の顕微鏡では,広い視野を高解像度で観察しようとすると,レーザー走査時間が長くなるため,時間分解能が低下する。そのため,1細胞の個性を測定できる空間分解能と,多細胞による複雑な生命現象を可視化するための広い視野を,同時に実現することは困難である。

この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。

ログインフォーム
 ログイン状態を保持する  
新規読者登録フォーム

同じカテゴリの連載記事

  • 高色純度・高輝度・高耐久性の分子性赤色発光体
    高色純度・高輝度・高耐久性の分子性赤色発光体 北海道大学 北川裕一 2020年07月17日
  • レーザーせん断応力計と知的乱流制御 室蘭工業大学 大石義彦 2020年06月10日
  • 電界処理を用いたガラスへの光情報記録と表面構造化技術 北見工業大学 酒井大輔 2020年05月25日
  • シースルーなプロジェクション型ライトフィールドディスプレイ (国研)情報通信研究機構 涌波光喜 2020年04月20日
  • メタ表面基板の利活用による高感度・高信頼性の蛍光バイオセンサー (国研)物質・材料研究機構 岩長祐伸 2020年03月18日
  • 近赤外光を活用できる有機金属錯体の合成技術 金沢大学 古山渓行 2020年02月19日
  • Plane-to-Rayライトトランスポート計測に基づく皮下血管のリアルタイムイメージングシステム 奈良先端科学技術大学院大学 久保尋之 2020年01月20日
  • 可変メタサーフェスを利用した光位相変調素子 東京農工大学 岩見健太郎 2019年12月20日