高複屈折性材料を指向した含硫黄液晶分子の開発

1. はじめに

液晶ディスプレイ(以下,LCD)の普及に伴い,液晶という言葉が身近なものとなった。液晶は,三次元的な配向秩序により異方性を有する結晶と,配向秩序がなく流動的な等方性液体の間に発現する中間相である。異方性と流動性の両性質を兼ね備えるため,電磁場や擦り,延伸などの外力により分子配向の制御が可能となる。LCDの中では液晶分子が偏光のシャッターとして利用されている。

液晶は棒状や円盤型などの分子の形状に起因した凝集により発現し,様々な種類の相がある。LCDに代表される液晶を用いた光学材料には,分子の重心の位置の秩序がなく,流動性の高いネマチック(N)系液晶がもっぱら用いられている(図1)。「液晶=テレビ」という認識が世間的には強いと思われる一方で,液晶研究者はLCD1)の他にも,液晶というユニークな場を利用した出口を模索する研究も活発に行っている。

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