光遺伝学というツールで
脳機能と神経活動の謎に迫る

◆村山正宜(ムラヤマ マサノリ)
理化学研究所 脳科学総合研究センター:行動神経生理学研究チーム チームリーダー

1977年10月生まれ。2006年東京薬科大学大学院 生命科学研究科卒業。博士(生命科学)。ベルン大学生理学部博士研究員を経て,10年より現職。その年,日本神経科学学会奨励賞を受賞。16年に生理学会奨励賞,文部科学大臣表彰・若手科学者賞を受賞。

もし,記憶を自由に操れるとしたら,あなたは忌まわしいあの日のことを消し去ろうとするのだろうか。それとも忘却のかなたに失った,何か大切なものを再び見つけ出そうとするのだろうか。

2014年,理化学研究所(理研)の利根川進氏らは,マウスの神経細胞群を光で操作することで「嫌な記憶を」「楽しい記憶」に書き換えることに成功したと発表した。さらに今年,アルツハイマー病モデルマウスの「失われた記憶」を,人為的に復元することにも成功し,世界を驚かせた。

これらのSF小説さながらの実験には,光遺伝学(オプトジェネティクス)という技術が用いられている。こうした成果を聞くとまるで魔法のようにも思えるが,いったいどんな手法で,光はどのように用いられているのであろうか。

今回は利根川氏と同じく理研に所属し,光遺伝学を用いた触覚知覚の脳神経回路メカニズムの研究で,2016年の文部科学大臣表彰・若手科学者賞を受賞した気鋭の研究者,村山正宜氏に話を聞いた。

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