レーザーが解き明かす地球太古の姿 ─地球科学と光学の「熱い」関係

◆太田 健二(オオタ ケンジ)
東京工業大学理学院地球惑星科学系 講師。博士(理学)。

1983年3月生まれ。2010年 東京工業大学 大学院理工学研究科 地球惑星科学専攻 博士課程修了。日本学術振興会特別研究員(SPD)として大阪大学極限量子科学研究センターにて研究を行ない,2013年11月より現職。2015年に日本高圧力学会奨励賞を受賞。

今年の5月,東京工業大学,愛媛大学,大阪大学,高輝度光科学研究センターらのグループは,地球の内核の電気伝導度を超高圧高温条件下で測定することに成功したと発表した。これにより,地球の内核の年齢がこれまで考えられてきたよりもはるかに「若い」可能性があるという結果が導き出された。これは従来常識とされてきた太古地球の歴史を書き換える大発見だという。

今回の快挙につながった研究には,レーザーとSPring-8が重要な役割を果たした。意外なようだが,地球科学にとってレーザーは無くてはならない貴重なツールなのだそうだ。記者も様々な場面で「レーザーにこういう使い方があるのか」と感心させられてきたが,地球の歴史を紐解くことにまで使われているとは驚きである。

果たして地球科学の現場でレーザーはどのように使われているのであろうか。今回はこの研究を中心となって進めた,東京工業大学 地球惑星科学系講師の太田健二氏に地球科学とレーザーの「熱い」関係について伺った。

この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。

ログインフォーム
 ログイン状態を保持する  

    新規読者登録フォーム

    同じカテゴリの連載記事

    • 光プラスαの技術で水中ビジネスを加速させる! ㈱トリマティス 代表取締役 島田雄史 氏 2024年03月12日
    • 学術と産業の架け橋となり,更なるイノベーション創出を (一社)レーザー学会 会長 久間和生 氏 2024年01月15日
    • 芽から幹への成長が期待される面発光レーザーの産業化 東京工業大学 栄誉教授/元学長 伊賀 健一 氏 2023年12月07日
    • 日本が実用化の先導役となるか!?注目のペロブスカイト太陽電池開発動向 桐蔭横浜大学 宮坂 力 氏 2023年10月06日
    • パワー半導体とイメージンセンサーの両輪で挑んだ日本市場の一年とは オンセミ 日本法人代表取締役 林 孝浩 氏 2023年09月29日
    • 眼に装着する究極のディスプレー─ホログラムが可能にする未来とは 東京農工大学 高木 康博 氏 2023年09月27日
    • 光エレクトロニクスの未来 ─若手研究者への技術伝承がカギ 名古屋大学 天野 浩 氏 2023年08月21日
    • 事業のフォーカスの中で,将来を見据えて盛り立てるのが研究の役割 古河電気工業㈱ 執行役員 研究開発本部長 藤崎 晃 氏 2023年08月18日