日本発のLiDARは世界を変えるか?─「見たいところだけを見る」デバイスの実現に挑む

◆上塚 尚登(ウエツカ ヒサト)
㈱SteraVision CEO

1981年東京工業大学を卒業。専門領域は光デバイス技術。日立電線(現 日立金属)に入社し,光通信デバイスビジネスを立上げた。社内ベンチャーのヘッドとして約100億までの部門に成長させた経験を持つ。
2013年,産業技術総合研究所に入所。シリコン導波路,光スイッチ,光センサーの研究開発に従事。
2016年,産総研で開発した光デバイスと光センサーをコア製品としたベンチャー企業(SteraVision)を設立。工学博士。

自動運転に向けた研究開発が進む中,その基幹技術となることが確実視される「LiDAR」に注目が集まっている。照射したレーザーの戻り光から周囲の物体の形状や距離を捉えることができるため,いわば自動車の「目」としての役割が期待されているが,実用化に向けてはまだ課題も多い。

中でも「低価格」と「信頼性」の両立は必須とされており,光源の数と可動部を減らすことが試みられている。海外ではこれらを実現するアイデアを掲げたベンチャーが次々に立ち上がっており,将来性のある技術は自動車メーカーによる出資や買収が進んでいる。

Velodyneに代表される,多数のレーザーを積んだ高価なLiDARは過去のものとなり,その開発は完全に新たなフェーズへと移行した。海外発のLiDARがクローズアップされる中,日本からも独自のビームステアリング技術「MultiPol」の実用化を進めるベンチャー,SteraVisionが産総研から立ち上がった。今回はその技術や計画について,CEOの上塚尚登氏に話しを伺った。

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