サングラス

子供の頃,サングラスをかけている人は悪い人なのだと,かなり強固に信じていた。もしもサングラスをかけたおじさんに「坊や」などと声をかけられたら,一目散に逃げるのだと心に決めていた。(実際そんな場面は無かったが)。それだけではなく,サングラスは普通の人をも悪人に変えてしまう魔力を持っているに違いない,などという妄想すら持っていたのである。

小学校に時に東京から札幌に引っ越し,家族で初めてスキー用品を揃えた時に,父はゴーグルではなくサングラスを買った。普段から生真面目だった父がサングラスを初めてかける時には,父親があちら側の世界の人になってしまうのではないかと密かに心を痛めたのであるが,ゲレンデの父が突如,不気味な笑みを見せることもなく,いつものように真面目でかっこいい父親のままだった。この時を境に,僕にとってサングラスは悪のアイテムから格好いいアイテムに変わったのだった。

この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。

ログインフォーム
 ログイン状態を保持する  
新規読者登録フォーム

その他関連ニュース

  • ブルーライトカットと言われても
    ブルーライトカットと言われても 月谷昌之介 2018年01月17日
  • いつのまにか積丹ブルー
    いつのまにか積丹ブルー 月谷昌之介 2017年12月12日
  • 日陰?日影?
    日陰?日影? 月谷昌之介 2017年11月01日
  • きらり
    きらり 2017年09月22日
  • 揺らめく光─デルフトの風景─
    揺らめく光─デルフトの風景─ 月谷昌之介 2017年08月24日
  • 空の上のブロッケン
    空の上のブロッケン 空の上のブロッケン 2017年07月12日
  • タイムトンネル
    タイムトンネル 月谷昌之介 2017年06月14日
  • 地図を読む
    地図を読む 月谷昌之介 2017年05月22日