最も重要なのが実装ノウハウ—開発が進むレーザはんだ付システム

ジャパンユニックスのレーザはんだ付システム
ジャパンユニックスのレーザはんだ付システム

実装分野において,レーザはんだ付システム市場の拡大が期待されている。これはレーザ光源の信頼性が高まっていることに加え,実装ノウハウが構築されてきたことも大きな理由として挙げられる。

新たな電子機器の開発に伴い,プリント基板の設計は高度化し,こうした機器が高機能化していくにつれて,基板設計は複雑化していく傾向にある。このため,実装技術の進展も欠かせない。レーザによる実装技術はその応えの一つとされている。

アポロ精工のレーザハンダ付装置
アポロ精工のレーザハンダ付装置

レーザはスポット光を細く絞り込め,さらにはビーム形状を変えることもできるため,高密度実装基板や部品形状に応じた実装を可能にし,かつ非接触で行なえるなどといったメリットがある。現在市場を牽引しているのが,スマートフォンやタブレット端末と,自動車分野。中でも自動車はエレクトロニクス化が急速に進んでおり,実装部品点数も増加している。さらに実装における熱容量が接合条件によって大きくなるため,安定したはんだ付が求められる。

レーザによるはんだ付法は,必ずしも従来のコテによるはんだ付法を代替するものではないが,レーザによるはんだ付けはコテによるはんだ付けに比べて,プロセス数が削減される。レーザ技術とはんだ付け技術を融合することで,メーカ各社は多様化する実装ニーズに対応している。特にキーとなっているのが,生産性と実装品質だ。

ジャパンユニックスは,従来のレーザによるハンダ付けに比べ,2倍の速度ではんだ付けを可能にするシステムと,レーザのスポット径を可変することができるシステムを開発。前者は高速ガルバノスキャナを採用し実現したもので,後者はφ0.1〜3.0mm内で可変幅の設定を可能にしたものだ。

アポロ精工は,従来機で矩形の穴が空いたマスクを利用したはんだ付け法を提案していたが,ツインビームにしたことで均一なはんだ付けを可能にする装置を開発。マスクによるはんだ付けで課題となっていた熱量のロスを改善した。

堀内電機製作所は,搬送されてきた基板を反転させることなく,下方向からレーザを照射させる装置を開発。プロセス数を削減するとともに,糸ハンダを使用することで,はんだの廃棄ロスを抑えるという。

津々巳電機は,ミヤチテクノスと共同でレーザはんだ付け装置を開発。20Wのレーザを6基搭載することで,最大120Wを出力する。とりわけ高出力が求められるのは,車載用実装部品とされている。

今後はレーザによるはんだ付けの拡販を展開するメーカ各社の競争も激しさを増しそうだ。ただ,あるメーカは,「実装分野においてレーザはツールであって,これを如何に上手く取り込み,実装ノウハウを蓄積していくかが最も重要」と言い,このノウハウが武器になるとしている。このことがレーザはんだ付け装置市場の拡大につながると考えられそうだ。