非球面オプティクスでフレキシブルかつ頑強なビーム成形

■AiryShapeを使った屈折型ビームの成形

無限焦点ビーム成形システムは,3~300 mm(FWHM)範囲の均一な強度分布を生成することができるが,集光ビーム成形システムで特に強調すべきことは,最大径約1 mm(FWHM)までの小さなトップハットプロファイルの生成が可能であること。しかし,このビーム成形システムは異なるコンセプトに基づいている。

図3 すべての重要な強度分布(位相板前後のビーム分布はレイトレーシングするため正しくは表示されていない)を持つ集光ビーム成形システム(AiryShape)の概略図
図3 すべての重要な強度分布(位相板前後のビーム分布はレイトレーシングするため正しくは表示されていない)を持つ集光ビーム成形システム(AiryShape)の概略図

具体的には,この集光ビーム成形システムは,回折理論とフーリエ変換補正のアプローチに基づいている1, 5)。さらに具体的に言えば,シンプルな1枚のレンズが入力強度関数をフーリエ変換して,対応するフーリエの法則がその焦点面に現れる。これは,三角関数で説明可能な集光トップハットプロファイルを生成するためには,入力強度関数がコリメートされたベッセル-ジンク(Bessel-sinc)強度プロファイルを持たなければならないということを意味する。

この現象の理論的な背景はすでに文献1, 5)で深く考察されている。コリメートされたガウシアン強度分布を集光したトップハットプロファイルに変換するためには,コリメートされたガウシアンビームプロファイルからコリメートされたベッセル-ジンクビームプロファイルへの更なるビーム成形ステップが必要となる。これは隆起した中心を含む,二元構造をもつ特別な位相板を使って実現することができる6)。ビーム成形の基本的なアレンジは図3に示す。

図4 焦点面を中心に±1.5 mmの範囲でz軸方向に沿って標準化されたビームプロファイルを表示(一部の重要なビームプロファイルは強調表示されている)
図4 焦点面を中心に±1.5 mmの範囲でz軸方向に沿って標準化されたビームプロファイルを表示(一部の重要なビームプロファイルは強調表示されている)

このビーム成形システムの動作原理に従い,集光レンズの焦点面にトップハットビームプロファイルを生成するだけでなく,異なる作動距離では異なるビームプロファイルを生成することもできる。この構成に追加のコンポーネントは必要ない。図4は,伝搬方向(Z軸)に沿ったビームプロファイルセクションの標準化を図で示したものである。この分散特性は,集光レンズの開口数0.05との相関がある。検出されたエリアはビームウエスト位置付近±1.5 mm。さらに,最も興味深い異なる動作面での強度プロファイルを示す。

図4に見られるもう一つの点は,異なる強度分布間でのサイズと距離の関係である。この概要に示されたプロファイルの厚さを詳しく見ると,より大きいトップハット強度分布(FWHM)がビームウエスト(@1/e2)のビームプロファイルの2倍であることが示されている。

さらに,ビームウエストと最初の(小さい方)トップハットプロファイルとの間の距離が,より小さいトップハットとより大きいトップハットプロファイルとの間の距離にほぼ等しいことが容易に分かる。ドーナツ状の強度分布は,これら2つのトップハットプロファイルのほぼ中間にある。このプロファイル間の距離関係は一定のままである。しかし,異なるプロファイル間の距離は,選択された集光レンズの焦点距離と入力ビームサイズ(=開口数)とシステム波長との比に依存する。