非球面オプティクスでフレキシブルかつ頑強なビーム成形

■入力および出力ビーム径のフレキシブルな調整

実際には,特にビーム成形システムを既存の構造に追加する際は,ビーム形成は複雑なプロセスとなる。そのため,考慮すべき点は2点ある。まずはビーム入力部分を既存のレーザ光源へ適応させること,次にビーム出力を各々のセットアップへと改良することである。この両方のタスクを処理できる設計をすることが重要となる。

図5 (a)無限焦点および(b)集光ビーム成形システム用入射および出力ビーム径のフレキシブルな適合
図5 (a)無限焦点および(b)集光ビーム成形システム用入射および出力ビーム径のフレキシブルな適合

両ビーム形成システムの高い柔軟性により,コリメートされたレーザビームと組み合わせて使用できるだけでなく,ファイバー付き光源も使用することができる。これに対応する倍率のためのBeamExpanderとAspheriCollが必要となる。システム出力ビーム直径を拡大するか縮小するかによって,この2つのシステムは区別して使用する。無限焦点ビーム成形システムでは,入力ビームのところで説明したように,適切なBeamExpanderを使用してビームサイズを調整することができる(図5(a))。トップハットプロファイルのスケーリングは,集光レンズの焦点距離によって行なうことができるので,集光ビーム成形システムの出力ビーム径のスケーリングも完全に調整することができる。このように,ほぼすべてのサイズのトップハットプロファイルを作成することができる。例示的なレイアウトを図5(b)に示す。

両方のビーム成形システムが設計され,直接プロトタイプや現場でのテストに実装された。このキャラクタリゼーションの結果を下記に表示する。

■TopShapeのキャラクタリゼーション
図6 AspheriColl,BeamExpanderおよびTopshapeで構成されたキャラクタライゼーションの実験的セットアップ
図6 AspheriColl,BeamExpanderおよびTopshapeで構成されたキャラクタライゼーションの実験的セットアップ

図6の写真は,ラボ内での検証セットアップ例となっている。使用される光学エレメントの順番は,図5(a)に対応する(ただし,ビーム成形エレメント通過後にBeamExpanderなし)。写真が示すように,ファイバー出口からビーム成形システムの最後の表面まで約180 mmという,かなりコンパクトなデザインとなっている。これは,このシステム全体が,ビームアダプター(ファイバーカプラー,テレスコープ)のない一般のビーム成形ユニットよりもさらに短いことを意味している。

図7 TopShape要素(λ=635 nm)で,(a)測定されたビームプロファイルおよび(b)測定された波面
図7 TopShape要素(λ=635 nm)で,(a)測定されたビームプロファイルおよび(b)測定された波面

図7(a)に示した,対応するビームプロファイルは,コヒーレントなレーザ光源(λ=635 nm)を用いて100 mmの作動距離の地点でビームプロファイルカメラ(Ophir SP928)で記録されたもの。このビームは12の表面を通過し,そのうち6面は非球面オプティクスであった。結果,ISOプラトーの均一性は0.133であり,ISOスロープは0.4という値を持っている。

さらに,Phasics SID4-HR-307c(300×400 pts; λ=635 nm)ディテクター(図7(b))を用いて,ビーム成形システムの波面が測定された。この目的のために,ビームが14表面(うち7面は非球面オプティクス)を通過するように,追加のBeamExpander(図5(a)に示すように)を使用してビームは検出器のサイズに縮小された。そのうちの7面は非球面で,その結果のRMS波面誤差は,0.05 λ(ストレール値0.9に相当)となっている。