理研,超解像イメージングで光合成活動を観察

理化学研究所(理研)の研究グループは,生細胞超解像・高速イメージングによって,生きた植物細胞内に存在する葉緑体内での「光エネルギー伝達」の変動の様子を可視化することに成功した(ニュースリリース)。

光合成反応は,自然環境の維持と物質生産の根幹を担う重要な役割を果たしている。光合成の基盤となる光化学系(タンパク質)は,葉緑体のチラコイド膜に存在し,集光アンテナタンパク質から運ばれる光エネルギーを消費し,電子伝達系を駆動している。

光エネルギー伝達機構の制御には,集光アンテナタンパク質が大きく関与しており,その制御機構の全容は複雑で,さまざまな分子が連動することで,光合成反応全般の効率を維持していると考えられている。

しかし,植物細胞内に存在する10μm以下の大きさの葉緑体内でのタンパク質の働きを観察すること,高速に伝達する光エネルギーを直接捕えることは極めて難しく,これまで光エネルギー伝達を生きた細胞で観察することはできなかった。

研究グループは今回,多色・超解像・高速の「共焦点顕微鏡システム(SCLIM)」を用いて,三次元(縦・横・高さ)方向に高速スキャンし超解像レベルで植物の生細胞を観察した。

今回の観察では,約1.5秒で10枚の平面画像を縦軸方向約50nm間隔で取得し,約30秒間で20枚の三次元画像を構築することに成功した。その結果,光エネルギー伝達の変動を示すクロロフィル蛍光のダイナミクスを可視化することに成功した。

この成果は,光合成反応の初期に起こる光エネルギー伝達機構の速い変化を追跡することを可能とし,今後の超解像・高速のライブセルイメージング解析の基盤となるものだとしている。

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