農研機構,赤外線センサーで牛の発情を検出

農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は,IoTデバイス/センサーネットワークの開発のイーアールアイと共同で,発情を最も明瞭に示す雌牛の乗駕許容行動(他の牛が背後から乗りかかっても雌牛が許容して動かない行動)を簡単に発見するために,消費電力の少ない低コストな無線技術を活用した「牛の乗駕行動を検知するシステム」を開発した(ニュースリリース)。

国内の子牛生産には一部の肉用種を除き,人工授精あるいは胚移植が利用されている。これらの技術は発情日時を把握し,適期に実施することが必須。発情を最も明瞭に指し示す乗駕許容行動は,その持続時間が14~21時間と短く,また,発情周期は約21日間隔であるため,発情の見逃しによる経営的損失は1頭あたり数万円にも及んでいた。

開発したシステムは,牛の行動を監視するセンサーユニット(赤外線センサー),加速度・角速度センサー,行動データを受信する中継機と行動状況を表示するタブレット端末で構成される。通信範囲は500mで,同時に10頭まで監視できる。このセンサーユニットを雌牛の背部に装着することで,搭載された赤外線センサーにより牛が乗駕されたことを検知する。

その際に雌牛が動かずに乗駕を許容したのか,あるいは拒絶する行動を示したのかを加速度と角速度センサーから得られた情報に基づいて複合的に解析することで,牛の乗駕許容行動を99.6%の確率で発見し,発情行動の見逃しを少なくできるという。

これにより,乗駕許容行動が行なわれた約6~18時間後の授精適期に,人工授精を遅延無く計画的に実施できるとしている。

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