東北大ら,レーザー生成プラズマ光源の光強度増大現象を発見

東北大学,量子科学技術研究開発機構,東海大学の研究グループは,金属ターゲットを窒素ガス中に置いたときに,ガスの圧力に応じて「水の窓」波長域の軟X線強度が増大する現象を発見した(ニュースリリース)。

真空中に置いたターゲットに大強度レーザー光を照射して生成されるプラズマからは様々な波長の光が放出され,比較的簡便な方法であることから軟X線領域の実験室光源として利用されている。

これまで,軟X線領域の光はガスに吸収されるため光強度が増大するとは考えられてこなかったが,窒素のK殻吸収端において吸収が著しく弱くなる波長領域があることと,プラズマ中で軟X線の発光を担う高エネルギーイオン数が通常の場合よりも増えたことにより,発生する光強度が増大した。

具体的には,導入した窒素ガスの圧力を0Torrから3Torrまで変えたAuプラズマからの発光は,波長ごとに多少異なるものの,ガス圧力が0Torrから3Torrに増える間に得られた発光強度は約一桁増大した。ターゲットをAuからAlに変えて同様の測定を行なったところ,Auの場合とは異なり,スペクトル形状は0Torr時と2Torr時でほぼ同じ形状を示す一方で,光強度はほぼ一様に約一桁増加した。

研究グループは,発光強度増大に伴ってプラズマ中のイオン価数の変化は少ないと考えており,プラズマのマクロな変化,すなわち発光に寄与するイオン数の増加によって,発光強度の増大が起こっているだろうと考えている。現時点でイオン数が増加する詳細な機構は不明だが,ガス導入に伴って発光に寄与する高い価数のイオンの寿命が長くなったのではないかとしている。

得られた結果から,この現象は波長2nm~30nmにかけての広い波長域で起こる可能性が示唆されるという。従って,波長の短さを利用する空間分解能,数10nmの軟X線顕微鏡や波長13.5nmや6.xnmの光を利用する次世代半導体露光機の光源技術として,この現象は応用が可能だとしている。

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