OIST,大面積プラズモンバイオセンサーを開発

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は,ナノプラズモニクスを応用した新しいバイオセンサーの素子(センサー機能を担う部分)について,培養細胞のモニタリングに応用することに成功した(ニュースリリース)。

ナノプラズモニクスの主な目標の一つに,生きた細胞の活動状態をリアルタイムで測定することが挙げられる。しかし,従来のナノ構造ではその表面上で生細胞を長期間に培養でき,かつ,このナノ構造が細胞の活動に影響を与えないといった条件をクリアすることが難しかった。

この素子はナノプラズモン特性を持つナノ構造が組み込まれている。このナノ構造の表面では無数の生細胞の培養が可能であり,また,このナノ構造の特性を利用したリアルタイムでの細胞の増殖過程の計測も可能となる。

開発したナノ構造は長期間の細胞培養に適用可能。従来,生細胞をナノ材料の表面上で培養すると,ナノ材料の毒性によって,細胞が死んでしまうケースがほとんどだったが,開発したナノ構造の場合では,7日以上の細胞培養に成功した。一方で,このナノ構造が持つナノプラズモンの性質は,1000の細胞の内,16の細胞で増殖したことを検出するなど,極めて高感度なセンサーとして機能する。

表面に特殊なナノ構造を施した基板は,ナノプラズモン特性を持つキノコ型ナノ構造(ナノマッシュルーム)と呼ばれる微小な突起状の構造で覆われている。このナノ構造は,二酸化ケイ素の軸の部分と金の笠の部分から構成されている。この緻密なナノ構造の形状や金原子の配置の組み合わせによって,分子レベルの高感度なバイオセンサーが実現できる。

白色光がナノプラズモン特性を持つ基板を通過すると,キノコ型ナノ構造は,光に含まれる特定の色を吸収・散乱するため,透過する光の特性(色)が変化する。この変化は,ナノ構造のサイズや形状,そして材質によって規定される。特にナノ構造の近傍に存在する媒体物質が強く作用する。

この原理により,ナノ構造を通過する光の変化を測定することによって,ナノ構造表面で起こる細胞増殖のような微小な変化の様子を検出し,観察することが可能となる。

これまでもナノプラズモン特性を持つナノ材料は開発されてきたが,面積を拡張することが課題となっていた。研究グループは大型のナノマッシュルーム・バイオセンサーを作製するため,印刷技術を開発し,2.5cm×7.5cmの二酸化ケイ素基材上に約100万個のキノコ状構造が並んでいる材料を開発した。これにより,単一の分子でさえも検出するバイオセンサーを作ることができる。

プラズモニックおよびナノプラズモニックの原理に基づくセンサーは,エレクトロニクスから食品製造,医療まで,多くの分野で役立つ強力な技術となり得るとしている。

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