東大,フェムト秒レーザーのガラス加工速度を5000倍に


東京大学は,ガラスの微細精密加工を従来の5000倍の速さで実現するレーザー加工技術の開発に成功した(ニュースリリース)。

ガラス材料の微細加工を高速かつ精密に施すために,フェムト秒レーザー加工が注目されている。フェムト秒レーザーは極めて短い時間で材料にエネルギーを送り込むため,ガラスのような透明な材料に対しても光を吸収させることができ,微小形状を作り出すことができる。

しかし,ガラスのフェムト秒レーザー加工は加工時間が長いため加工能率が低い。また,極めて短い時間にエネルギーを投入することで材料が急激に膨張し,クラックが生成されるという2つの問題があった。

今回,研究グループは,フェムト秒レーザー照射後に材料内部に瞬間的に形成される高電子密度領域に透過波長の長パルスレーザー光を吸収させることによって,微細形状を従来の5000倍という超高速で,なおかつクラックなく精密に作り出す技術の開発に成功した。

この手法では,ガラスに対して透過波長を有するフェムト秒レーザーをガラス材料内部に集光し,材料内部の光の進路に沿った領域中に瞬間的に電子を励起させ,高電子密度領域を形成する。高電子密度領域では光の吸収率が上昇することに着目し,通常であればガラスを透過する波長を有する長パルスレーザー光を高電子密度領域にのみ選択的に吸収させることで,直径10µm,深さ約150µmの微細孔を0.04msの加工時間で形成した。

同等の微細形状を従来技術(1kHzで発振するフェムト秒レーザー)で加工する場合には200msの加工時間を要する。高電子密度領域は一定時間を経ると緩和して消失するが,消失前までであれば長パルスレーザーのパルス幅を制御することによって吸収させるエネルギー量を調整し加工形状を制御できる。

この手法における材料の除去過程は長パルスレーザーによる熱的な蒸発が支配的であるため,フェムト秒レーザーパルスを多数照射した場合のような多数の応力波は発生せず,材料内部にはクラックが形成されないという。このように,瞬間的に形成される高電子密度領域を活用することにより,ガラス材料への微細加工を超高速かつ精密に施す技術を確立した。

この手法はガラスの微細加工技術を必要としている電子機器や光学機器をはじめとする多くの製品の高性能化,低コスト化に貢献する。さらに,原理的にはガラスに限らず,様々な非金属材料に対して適用することが可能であることから,今後より広範な領域で活用されるであろうとしている。

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