KEKら,中性子星合体による偏光のメカニズムを提唱

高エネルギー加速器研究機構(KEK),東北大学,スウェーデン・ストックホルム大学,イタリア国立天文台の研究グループは,キロノヴァAT 2017gfoで検出できなかった程度に小さな光の偏りは,重力波の観測から示唆されるように中性子星の合体をその極方向から見ているとすれば,重元素からの光として自然に解釈できることを確かめた(ニュースリリース)。

金やプラチナなどの重い元素は,2つの中性子星が合体したときに作られることが明らかになってきている。中性子星とは主に中性子からなる天体で,それが組になった連星は重力波を放つことで合体する。

合体の際には中性子星の一部が吹き飛ばされて重元素になり,さらに「キロノヴァ」として輝く。2017年8月に,連星中性子星合体からの重力波GW170817に引き続いて観測されたキロノヴァAT 2017gfoは,この説を強く支持しており,この同時観測は世界中で大きなニュースになった。

AT 2017gfoの観測では,どのような元素がどれほど作られたかまでは突き止められなかったが,中性子星から飛ばされた物質には,赤く光る部分と青く光る部分との2種類があることが示唆された。この違いは,その部分で金やプラチナ,ウランなどの非常に重い重元素までが作られているか,それとも銀やキセノンなどの軽い重元素しか作られていないかを反映していると推測されている。

これら2つの成分がどれほど作られているかを突き止めることは,中性子星が合体する過程を詳細に理解し,またそれが本当に宇宙における重元素の起源として主要なものかどうかを明らかにするための重要な課題となっている。

そのための有力な手段の一つが,光の振動方向の偏りを観測することであり,AT 2017gfoでは偏りが小さかったことが突き止められている。

今回,キロノヴァからの光の偏りの精密な数値シミュレーションを世界で初めて行なった結果,もし連星合体を赤道方向から見ていれば,1%程度の大きな光の偏りが見られたかもしれないことが明らかになった。

キロノヴァが大きな光の偏りを示すことは,非常に重い重元素からなる部分と軽い重元素からなる部分との両者があって初めて可能になる現象で,重元素の種類を知るために利用できる。

今後,新たな連星中性子星合体からのキロノヴァが観測され,大きな光の偏りが検出されれば,非常に重い元素から軽い元素まで様々な重元素が作られた証拠が得られるとしている。

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