東大ら,惑星観測用多色同時撮像カメラを開発

東京大学,自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター,科学技術振興機構,国立天文台,カナリア天体物理研究所などの研究グループは,第二の地球を発見するための新しい多色同時撮像カメラ「MuSCAT2」を開発し,世界有数の天文観測最適地であるスペイン・テネリフェ島のテイデ観測所にある1.52m望遠鏡に設置した(ニュースリリース)。

NASAのトランジット惑星探索衛星ケプラーは,2018年11月に運用が終了するまでに,惑星が主星の前を通り過ぎる「トランジット」という現象を用いて,約3000個もの系外惑星を発見してきた。

しかし,トランジット法で発見される惑星候補には本物の惑星だけではなく,恒星が別の恒星の前を通過する食連星という偽物が混じっている。そのため,2018年4月に打ち上げられたNASAの新たなトランジット惑星探索衛星TESSによって数千個という惑星候補が発見されるであろう中で,本物の惑星と偽物の食連星を効率的に見分けること(発見確認観測)が研究上の課題となっていた。

「MuSCAT2」は,TESSで発見された惑星候補が,本物の惑星かどうかを発見確認することを主目的とした観測装置。研究グループはこの装置の性能を評価するため,実際に既知の惑星のトランジットを観測し,400-550nm(gバンド),550-700nm(rバンド),700-820nm(iバンド),820-920nm(zバンド)で観測した。この測光精度は,TESSで発見された太陽系近傍の赤色矮星を公転する第二の地球たち(生命居住可能惑星)の発見確認を行うことも可能な精度だという。

その結果,「MuSCAT2」が世界最高レベルの測光精度を4色同時に達成できることを実証した。さらに,アストロバイオロジーセンターとカナリア天体物理研究所の間で締結された協定により,2022年まで年間162夜以上の望遠鏡時間が「MuSCAT2」のために確保された。テイデ観測所の晴天率は7割程度であり,これは年間100個以上の惑星の発見確認観測が実施できることに相当する。

TESSは2018年現在南天の観測を実施しているが,2019年夏頃からは北天の観測を開始する。今回の完成により研究グループは,TESSの北天の観測で発見される惑星候補の発見確認観測で世界をリードすることが可能となったとしている。

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