理研,19桁光格子時計に向けた魔法条件を決定

理化学研究所(理研)は,ストロンチウム(Sr)原子を用いた「光格子時計」の高精度化に向けて,光格子レーザーによる共鳴周波数のずれ(光シフト)を高次の効果まで含めて精密に評価した結果,光シフトの影響を最小とする光格子の「実効的魔法条件」を導き出した(ニュースリリース)。

現在,世界の三つの研究チームで「18桁精度」の光格子時計が実現されている。このような超高精度の光格子時計の実現により,光格子レーザーの「魔法周波数」の概念の拡張が迫られている。

それに対し,従来の魔法周波数の近似で無視した光格子と原子の高次の相互作用によって生じる原子の共鳴周波数の非線形な変化を取り入れることで,18桁超の精度での動作を可能にする「実効的魔法条件」のアイデアが提案され,その実証が待たれていた。

具体的には,実効的魔法条件を満たす光格子のレーザー強度,周波数,原子の振動量子状態に,光格子時計の動作点を設定することで,高次の効果まで含めた光シフトを19桁のレベルに低減することができるとする。

今回,研究グループは,ストロンチウム(Sr)原子の光格子レーザーによる共鳴周波数の変化を実験的に評価することを試みた。光格子中のSr原子の振動量子状態および光格子レーザーの強度と周波数を精緻に制御し,光格子の光シフトを評価した。

その結果,これまで実験的に観測されなかった電気四重極子]/磁気双極子および超分極による高次分極効果の高精度測定に成功した。このデータを基に,光格子の光シフトを19桁精度に低減する実効的魔法条件となる光格子レーザーの強度,周波数を決定した。

この研究成果は,現在の「秒」の定義であるセシウム原子時計の精度を3桁上回る「19桁精度」の光格子時計の実現に向けた重要なステップであり,秒の再定義への議論を活発化するもの。

また,19桁精度の時計は,ミリメートル精度の相対論的測地などを可能にし,時間/周波数の標準技術の枠を超えた,広範な応用の可能性を広げるものだとしている。

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