産総研ら,大面積グラフェンの欠陥を可視化


産業技術総合研究所(産総研)は,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトの成果をもとに,九州大学と共同で,微弱信号を高効率に検出できるロックイン赤外線発熱解析法を用いて大面積グラフェン膜のさまざまな微細な欠陥構造を高速・高精度で可視化できるイメージング評価技術を開発した(ニュースリリース)。

グラフェンの欠陥構造に関する評価は,グラフェンの高品質化・高性能化に関わる大きな技術課題となっていた。これまで,主に走査型トンネル顕微鏡(STM)などで評価されていたが,走査する視野がナノメートルからマイクロメートル程度の狭い範囲に限られるため,大面積膜の評価法が大きな課題であった。

今回開発したシステムは,周期電圧をグラフェンにかけ,グラフェンから発生する熱輻射を赤外線カメラで撮影して発熱の分布を空間的にイメージングする。従来のサーモグラフィー手法とは大きく異なり,このシステムではかけた電圧の周波数と同期して連続撮影し,一定間隔で画像を取り込んで、ロックイン検出(計測信号と参照信号との同期検波に基づく検出手法で,微弱な信号も高効率に検出できる)に基づく演算処理を行なっている。

この処理によってグラフェンを支持する基板上での蓄熱成分(直流)が除かれ,電圧によってグラフェンから生成されるジュール熱成分(交流)だけを高効率・高速に発熱画像としてイメージングできる。

これにより,グラフェンの基本単位である六員環構造中の炭素-炭素結合(サブナノメートルサイズ)の切断のような原子スケールの欠陥が連続することで起こる不連結(六員環同士の連結が途切れた状態)やオーバーラップ(六員環同士が互いに上下に重なったような状態)が連鎖することで生じる幅100nm程度の欠陥構造を含む粒界では,その幅で起こる局所的な電気抵抗の上昇を反映した強いジュール熱が観測された。

また,基本の六員環構造が崩れて五員環や七員環などになる構造の乱れと考えられる原子スケールの欠陥構造でも検出可能であり,微細な欠陥の影響も評価できることがわかった。さらに,結晶粒界に加え,破れやシワといったグラフェン膜のさまざまな欠陥構造も可視化できたとする。

今回の成果は,高品質化・高性能化が求められるCVDグラフェンの性能評価として有用であり,大面積デバイスへの応用に向けて大きく貢献し得るものだとしている。

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