名大,高分子化反応でグラフェンナノリボンを合成

名古屋大学は,「リビングAPEX(エイペックス)重合法」と呼ばれる高分子化反応を開発することによって,グラフェンナノリボンの完全精密合成に成功した(ニュースリリース)。

グラフェンナノリボンは,グラフェンをナノメートルサイズの幅に切り出した帯状物質で,シリコン半導体を超える半導体特性や透明性,柔軟性などから,次世代のトランジスター,センサー,電子回路などへの応用が期待されている。

グラフェンナノリボンの性質はその長さ,幅,エッジ構造に大きく依存するため,電子デバイスに応用するためには原子レベルで精密に合成することが不可欠。しかしこれまでの化学的・物理学的合成手法では,欠損が生じる,長さが制御できないなどの問題があった。

研究グループは効率的な新重合反応「リビング縮環π(パイ)拡張重合法」,通称「リビングAPEX重合法」を開発し,石油から入手容易な芳香族化合物を重合開始剤として用い,長さ,幅,エッジ構造のすべてを制御しながらグラフェンナノリボンを合成することに成功した。

合成したのはフィヨルド型と呼ばれる幅1nm程度のグラフェンナノリボンで,重合開始剤とモノマーの混合比率を変えるだけで最長170nm程度まで長さを自由自在に変えられることがわかった。さらに酸化反応を施すことでアームチェア型グラフェンナノリボンに変換できることも見いだしたという。

今回開発した手法を用いて合成できる均一な構造の各種グラフェンナノリボンは,田岡化学工業と共同で量産化技術の確立を目的とした研究を行なう。

研究グループは今回の研究成果は,世界初の精密グラフェンナノリボン合成として材料科学分野に新たな道をひらく画期的な成果とし,このグラフェンナノリボンの量産化により,世界中の研究者によってさまざまな応用展開研究が一気に加速することが期待できるとしている。

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