東工大,低電圧/高輝度のペロブスカイトLEDを開発

東京工業大学は,近年,新たな発光材料として注目を集めているペロブスカイト型ハロゲン化物を用い,低電圧駆動で超高輝度のペロブスカイトLED(PeLED)の開発に成功した(ニュースリリース)。

ペロブスカイト型ハロゲン化物CsPbX3(ここではX=Cl,Br,I)は発光中心となる励起子の束縛エネルギーが小さいので,非発光型遷移が起こりやすく,低い発光効率の原因と考えられていた。そのため量子閉じ込め効果を持つ低次元の発光材料が主に研究されてきた。

しかし,低次元材料は電子や正孔が動きにくく,電流注入での発光効率が高くなりにくいという問題が生じる。今回の研究ではCsPbX3を発光層とし,これに適した電子輸送層を用いることで,電極からのキャリア注入と発光層内での移動の両方を促進する新たなアプローチでLEDの高性能化を狙った。

今回の研究では,電子親和力が異なる透明酸化物半導体をガラス基板上に成膜し,その上のCsPbBr3薄膜の発光特性を調べた。ここで透明酸化物半導体として当研究室が開発したアモルファスZn-Si-O(a-ZSO)を用いた。

実験の結果,隣接した層とペロブスカイト層とのエネルギーの違いに伴う,消光現象や励起子の閉じ込め効果を明確にみることができた。また,Zn/(Zn+Si)<80%のZSOを用いることで,ペロブスカイト層の励起子の閉じ込め効果が期待できる。そこで80ZSOを電子輸送層(ETL)に用いたPeLEDを作製した。発光層にはCsPbBr3(緑色発光)を80ZSO ETL上にスピンコート法で成膜した。

80ZSOを電子輸送層(ETL)として用いたPeLEDは2.9V,10,000cd/m2という低電圧駆動で,33 lm/Wの高い電力効率を示した。また,最高輝度としては5Vで500,000cd/m2の超高輝度が確認され,これまで報告されたPeLEDよりも非常に優れた特性を得ることができた。

また,a-ZSOは成膜条件や組成によって導電性の調整が容易であるため,発光層に注入される電子と正孔の電荷バランスを制御できる。電導性を調整することで電力効率は7.5 lm/Wから22 lm/Wまで大きく上昇した。

ペロブスカイト層と隣接した層のエネルギーアライメントの重要性の視覚化のため,ZSO ETL上に部分的にZnO(酸化亜鉛)を成膜した電子注入層を使ってPeLEDを作製した。その結果,ZSOと隣接している面のみが明確に発光しており,エネルギーアライメントが極めて重要であることが実証された。このコンセプトでさらに赤色や青色のPeLEDを作製し,優れたEL特性を確認できたという。

研究グループは,この成果はPeLEDの実用化に向けた新たな方向性を提案するものとしている。

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