産総研,200mW超の超広帯域発光素子を開発

産業技術総合研究所(産総研)の研究グループは,小型ハロゲンランプをしのぐ明るさ(200mW以上)と,1000時間以上の長寿命性を併せ持つ超広帯域発光素子を開発した(ニュースリリース)。

研究グループは,近紫外から近赤外の波長にわたる超広帯域の光を発光できる「紫外LED励起型超広帯域発光素子」の開発を主導し,2019年までに,世界で初めて,近紫外(350nm)から近赤外(1200nm)までの発光波長域を持つ素子を開発した。

この素子は省電力性・パルス点灯可能・小型・堅牢・長寿命・低発熱性などの特長があるが,一方で,ハロゲンランプを代替するには,明るさ(発光強度)が十分ではなかったため,製品化は難しかった。そこで今回,紫外LED励起型超広帯域発光素子の明るさの向上に取り組んだ。

今回,「紫外LED励起型超広帯域発光素子」の発光強度増強と,長寿命化を達成するために,蛍光体を取り巻くバインダーの材料や蛍光体層の改良に着目した。今回開発した発光素子では,蛍光体の励起に用いる紫外LEDの発光強度を増大させることが素子全体の発光強度増大の最も単純で直接な方法となる。

しかし,紫外LEDの発光強度が増大すると,それに伴って,バインダー材料や蛍光体自体が熱反応や,光反応によって変性(劣化)してしまうため,強い発光と長期間の安定性を両立させにくいという問題があった。一般に普及している白色LEDで広く用いられているバインダー材料は,シリコーン樹脂かエポキシ樹脂となる。

これらは,白色LEDの励起光源の波長(450nm前後の青色)に対する安定性は十分だが,極めて強い紫外線を照射すると,樹脂を構成する分子が変性し,成形物がヒビ割れたり褐色に変色したりする。このような変化は素子の発光強度増大や長寿命化にとって大きな障害だった。

その問題を解消するため,バインダーの材料や構造の改変を行なった。バインダーについては,空気中の水分や酸素の侵入を防ぐこと(ガスバリアー性),強い紫外線照射よるバインダー自身の熱・光変性が少ないこと(熱/紫外線耐性),また,強い紫外線で励起された蛍光体が発生する熱の放散を効果的に行なうこと(熱伝導性)などの点を考慮した。

その結果,極めて強い紫外線照射によって発生する,バインダーと蛍光体の化学的・物理的変化を抑制でき,小型ハロゲンランプをしのぐ明るさと1000時間以上の長寿命を併せ持つ素子を開発できた。これによって初めて製品に搭載できるようになり,実用化への道が開けたという。

この超広帯域発光素子はハロゲンランプに比較すると,省電力であり,熱線(中/遠赤外線)の発生もなく,小型で,耐衝撃性も高く,また,パルス点灯ができるなど,さまざまな優れた特性があるため,超小型計測器や分析機器用途のための新しい次世代メンテナンスフリー光源としての活用が広く期待されるとしている。

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