はじめに:レーザー航跡場加速の基本哲学と歴史的背景

1. はじめに

1.1 レーザー航跡場加速の基本哲学
図1 リビングストン図(from Ref.1))
図1 リビングストン図(from Ref.1)

この論文では,プラズマの中にどのようにして頑健な加速場を構築するのかについての考え方の骨格を述べる。真空(周りを金属か誘電体で覆われた)ではなく,プラズマを加速媒体として利用するアイデアは,絶縁破壊限界を越えて加速勾配を増加させる必要に迫られて始まった。これは強く組織化された物質(固体金属もしくは透電体)を用い,外部物質や磁場による確立された加速器物理の伝統的手法の危機を示している。

この危機は最近の(過去数十年の)リビンクストン図におけるエネルギー増加の鈍化に現れている(図1)。加速器のエネルギーの増加は最近指数関数的でなくなり,線形になっている(時間に対して,セミ対数グラフで描かれたリビングストン図において)。つまり,エネルギーの増加は新しい方法で実現されたのではなく,実装された装置の量の増加で実現されている。固体物質はその丈夫さにも関わらず,その本質的な弱さを露呈している。つまり,絶縁破壊を超えた場を加速に用いることが困難なのだ。これは,固体物質が量子力学的な束縛ポテンシャル(その強さもしくはエネルギーが〜eVであることで特長づけられる)によって作られているからである。一方,プラズマのように電離した物質は,粒子の運動エネルギーがeVよりずっと大きい特徴を持つ。

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