めくるめく印象派

僕がまだ子供の頃,父がなぜだか西洋絵画の全集を買い込んだ。それは古典から現代に至るまでの代表的な絵画が画家別に分冊された立派なもので,我が家のリビングに鎮座することとなった。ずらりと並んだ背表紙には有名であろう画家たちの名前が記されていたが,当時の僕が知っていた名前といえば,せいぜいピカソくらいのものだった。

さて,ある時,僕は暇に任せてその中の一冊を取り出してページを開いてみた。そこには,森の中のピクニックでくつろいでいるらしき男女が描かれているのだが,髭を生やした二人の紳士は黒い服にネクタイをつけているにもかかわらず,それに寄り添う女性はなんと全裸でこちらを見ている。それを見た瞬間,生まれて初めて感じる未知の力が僕を高揚させた。

この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。

ログインフォーム
 ログイン状態を保持する  
新規読者登録フォーム

同じカテゴリの連載記事

  • ボックスカメラの空洞 月谷昌之介 2020年03月02日
  • ロマンス?グレー 月谷昌之介 2020年01月31日
  • 摩周湖は今日も晴れだった 月谷昌之介 2019年12月26日
  • 雨は何色? 月谷昌之介 2019年12月19日
  • 日傘男子誕生 月谷昌之介 2019年12月19日
  • 眼医者迷医者 月谷昌之介 2019年09月20日
  • 続・光速半分 月谷昌之介 2019年08月19日
  • 光速半分 月谷昌之介 2019年07月09日